『No Smoking Girl』

またも小ネタを掲載。
某板に投下したものに加筆しています。

『No Smoking Girl』

 二十代後半にして肺を壊した揚句、医者に「このままタバコをやめないと命の危険がある」と脅されたが、こちとら高校時代から十年越しのヘビースモーカーだ。そう簡単に禁煙なんてできるモンじゃない。
 ところが、酒の席で高校時代からの友人である敏明に愚痴ったところ、「簡単に禁煙できる方法があるよ」と教えてくれた。
 半信半疑で、発明家であるヤツの作った機械にかかってみたんだが……。
 「なんですの、これは?」(なんじゃ、こりゃー!)
 なんてこったい、セーラー服着た女の子になっちまった!
 「ああ、よし、成功だね。うん、可愛い可愛い」
 「おじ様、いったいどういうことですの?」(敏明、どうなってんだよ!?)
 「アハハ、簡単に言うと、君の体の因子を書き変えたのさ」
 敏明いわく、この身体になった俺は、
 1)未成年なのでタバコを吸ってはいけない
 2)タバコの煙の匂いが嫌い
 3)タバコは出産にも悪影響があるので吸いたくない
 ……という3つの枷によって、タバコを吸わなくなるんだそうな。
 まあ、確かに、さっきからこうやって話していても、以前と違ってタバコが欲しくない。
 て言うか、むしろ見たくもない気がする。
 それは助かるが……。
 「ですが、どうして女の子になったのでしょう? わたくし、高校生ですよね?」
  (けど、何で女になってんだよ? しかも、高校生ぐらいの!)
 「ああ、それはね」
 なんでも、俺の身体にニコチンへの依存性がついたのが高2の頃だから、それより低い年齢に戻さないといけなかったらしい。また、2)3)の状況を作るためには、女の方が好ましかったんだとか。
 じゃあ、この言葉使いは? さっきから思った通りにしゃべれないんだが。
 「いいかい、僕は、遺伝子じゃなく「因子」を書き換えたんだ。簡単に言うと「運命の要素」みたいなものさ。つまり、今の君は外見通りの存在だから、当然そういう言葉使いをするのが妥当というワケ。
 何、心配しなくても、しばらくすれば慣れるはずさ。
 あ、そうそう、今の君は、どうやら両親を亡くし、僕に引き取られた姪っ子という立場にあるみたいだね。成人するまではキッチリ養ってあげるから心配は無用だよ」
 「そ、そんな……ヒドい!」(何だよ、それはーー!?)

 ……ってな騒動があったのが、おおよそ半年前の話。
 今では、わたくしも女子高生生活にすっかり馴染み、毎日おじ様のお世話をしつつ、元気に高校に通っています。
 おじ様は、あの発明を見てもわかる通り頭脳面では素晴らしい方なんですけど、科学者にありがちな私生活面はダラしない人ですので、炊事・洗濯・食事の用意といった家事全般はわたくしがやらざるを得ません。
 まぁ、将来のための花嫁修業だと思って、真面目にこなしていますけど。
 おじ様にわたくしの作った料理を褒めていただくのも、ちょっと嬉しいですしね!

 ルンルン気分で女子高生ライフを満喫する元・清彦こと清佳(さやか)の姿を、監視カメラで覗きつつ、
 「──我が策謀(こと)なれり」(ニヤリ)
 と、研究室で笑う敏明の姿があったとか。


……
………
…………

 「へぇ~、その「コト」の内容を詳しく教えていただけません?」
 (おい、何企んでたんだ、白状しやがれ!)
 ──まぁ、この世に悪は栄えないと言うべきか、直後にあっさり清佳にバレて折檻される(清彦時代の柔道三段のスキルは合気道三段に変換されていた)ワケだが。
 「アイテテ……いや、だって、可愛い姪っ子に色々お世話してもらうのって、漢の浪漫じゃん!」
 思いっきりくだらない動機だった!

 このあと、呆れた清佳が敏明の元から家出。敏明の実家に転がり込み、子供たちが独立して暇を持て余していたその両親に可愛がられることになる。
 敏明の「可愛い家政婦さんゲット」作戦は失敗したうえ、彼は両親からこっぴどく叱られ、「さっさと嫁さん貰え」と藪蛇をつつくハメになるのだが、ま、それは自業自得というものだろう。

-FIN-
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