『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! Before』その12

「るいとも Before」は、これにて終了。実は、リライトするほどの変更点はなかったと、今更に気がつくリトル愚かなワタシ。

『るいとも *Bの12』

 「え~、それでは、文化祭と我がクラスの模擬店の成功を祝って……」
 委員長たる高凪春奈の音頭に、クラスの皆が唱和する。
 「「「「「かんぱーーーい!」」」」」
 すでに午後6時半過ぎ。2時間ほど前に文化祭はつつがなく終了し、ひととおり片付けもすんだ今は、お疲れ会という名の打ち上げに移行していた。
 本来この学校は6時が下校時間なのだが、先生たちも、「外で打ち上げとかやって騒ぎを起こされるよりは」と、今日ばかりは黙認してくれる。
 さすがに高校生が教室で酒を飲むワケにはいかないものの、これだけの人数がお祭りの空気を引きずって集まれば、自然とハイテンションになるものだ。
 「3番、小石川一樹、抹茶ゴーヤオーレの一気、イキます!」
 どうやら、また学食に南方の新ジュースが入ったらしい。
 「7番、高野桃子と昼田林檎、コントやりまーーす!」
 かわいい顔のわりに本気のドツキ漫才な芸風が飛び出す。
 「12番、陽川そら、脱ぎます…………クツを」
 ブーイングの嵐を受ける女の子。
 「13番、穂村剛史、歌います、ボエエーーッ!」
 もはやブーイングすら起こらぬ"威力"の熱唱に身もだえる面々。
 「17番。陽川そら、リベンジです。脱ぎます! ……梅村くんが」
 「ええーっ!? 何で僕がァーーーッ!」
 抵抗する間もなく羽織ってるブレザーを脱がすと、下はまだ白スクのままだったり。
 「えぐえぐ……だって、僕の着てた服、返してくれないんだモン!」
 笑う者、泣く者、飲む者、食べる者、歌う者、脱がされる者……などなど、アルコールの力なんて借りなくても、十分カオスであった。
 「はーい、ちゅうもーく!」
 しかしながら、こんな状況下でも、春奈がパンパンと手を叩いて叫ぶだけで喧騒がある程度収まるのは、彼女の人徳だろうか。どこぞの小動物的ないいんちょが知ったら羨みそうだ。
 「ここで皆さんにふたつのお知らせがあります。良い知らせと悪い知らせ、どちらから聞きたいですか?」
 「いい方」「悪いほう」と意見が分かれたが、若干前者が多いと判断したのか、春奈は、「良い知らせ」から発表していく。
 「まずは、良いニュースから。我がクラスの模擬店。この2日間で、合計売上が、めでたく20万円を超えました! 生徒会からの補助金を足して諸経費を引いた純利益は約5万7千円となります!」
 おおおーーーっというどよめきが起こる。この種のイベントではトントンか黒字ギリギリというのが通例だ。
 コスプレ喫茶ということで予想以上に人気があったのと、準備を取り仕切った春奈の手腕だろう。
 「……といっても、利益の8割くらいは、今みなさんが食べているこのパーティーの料理にすでに化けてますけどね」
 エエーッ! という落胆の声も少数あったものの、あえて不満を述べる者はいない。
 定番のスナック菓子類はともかく、寿司、ピザ、ローストビーフや数々のスイーツなどなど。確かに、たかだか文化祭の打ち上げにしては、えらく豪華な料理が並んでいるのは事実だったからだ。
 「さて、その残りの2割については後で述べるとしまして、ここで悪い方……というか残念なニュースをお知らせします。
 2週間前から我がクラスで一緒にお勉強してきたルイズ・フランソワーズ・ヴァリエールさんが、この度、短期の留学を終えて帰国されることになりました」
 春奈の告げた言葉に、あれほど賑やかだった場がシーンと静まり返る。
 「ヴァリエールさん……ううん、あえてルイズちゃんとと呼ばせてもらうわ。ルイズちゃんと一緒にクラスで過ごしたのは、たった2週間だったけど、そうは思えないほど、わたしたち仲良くなれたと思うの」
 わたしが、以前からの知り合いであることを差し引いてもね、と笑いかける。
 「みんなもそうじゃないかな。ほんの2週間前に転入してきたとは信じられないくらい、ルイズちゃんはクラスに……この学校に馴染んでたと思うんだけど」
 春奈の言葉に賛同するように温かい拍手が巻き起こる。
 「それで、さっきのお金の残りなんだけど……これからフランスに帰るルイズちゃんに渡す記念品代に充てようと思うの。みんな、いいよね?」
 力強い拍手とともに、ルイズに手渡されたのは、みんなのビデオレターが入ったDVDと、いくつかの袋らしきもの。
 どうやら、本来はこの学校の1年生が春休み直前に行く研修旅行先・京都の、主要神社のお守りを集めてあるようだ。
 「学生らしく北野天満宮の学業成就から、交通安全、開運厄除、家内安全、無病息災、金運上昇まで、いろいろ取り寄せといたの。あ、恋愛成就だけは買ってないけど、別にいいよね、平賀クン?」
 ヒューヒューと冷やかしが飛び交い、少しだけ場が明るくなる。
 ルイズは、もう半分涙目だ。才人に促されて立ち上がる。
 「うん…うん……私、この学校も、このクラスのみんなのことも大好きだった……ううん、大好き。この学校に来れて、本当によかったわ!」
 柄にもなく涙ぐむルイズ。
 「大丈夫。この学校の生徒でなくなっても、ルイズちゃんのお姉さんは日本にいるんだし、また会う機会はいくらでもあるわよね」
 わたしたち、友達でしょ、と微笑む春奈。
 「だから、お約束だけど、"Good-bye"「さよなら」じゃなくて"So Long"「またね」と言って、お別れしましょ!」
 その時、クラス全員の声が重なった。
 ”So Long(またね)!!”
 「うん、またね、みんな!」

-fin-
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以上。ちょっとらしくないかもしれませんが、ルイズの日本短期留学は、ここで幕を下ろします。この続きが本編13話につながると思う、何やらせっかくのカンドーが台無しな気もしますが、ま、そこは「るいとも」ルイズですからw
次からは、いよいよ本編の後日談(というより、完全に続き、第二部)の「After」編のリライト版を投下していきます。

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