『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! Before』その11

ちょっと間があいてしまいました。
そのあいだに「世界樹3」と「exceed」をコツコツと。いや、仕事も忙しかったもので。
……と言いつつ、某支援所の「犬耳ッ!」は何とか完結させました。あそこのHPは4月いっぱいで無くなるみたいなので、図書館には投下せず、校正&R指定化してこのブログに載せるべきか、とも思っています。
あと、2ちゃんの「女同士」スレにて「母の肢体/娘の身体」という入れ替わり物を投下中。丁寧にコツコツ書いてたら予想外に長くなりました。こちらは最終話までのプロットができてるので、2週間ほどで完結すると思います。(すでに起承転結の結に入ってますしね) ちなみにタイトルはPSの某憑依ゲームからのオマージュです。

……というワケで、コチラでは「るいとも」の続きです。

『るいとも *Bの11』

 明くる日曜日は文化祭最終日だ。
 朝早くから教室に集合して、ルイズが率先して音頭をとる。
 「さぁ、みんなー、今日もバリバリ稼ぐわよ!」
 「「「「「「はい、メイド長!!」」」」」 (ぱっど長!)
 「……いま、パッド長って言ったヤツ、前に出ろーー!」
 ウガーッと吠えるルイズ。今朝もテンション全開のようだ。
 昨日一日営業して慣れたこともあり、ウェイトレス陣に不安はない。問題は、男性の接客係だろう。
 レンタルしたコスチュームの都合で、執事服姿の接客係は1日交代となっている。つまり、昨日働いた人間は今日はお休みで、今日の人員はまったくの初めてなのだ。
 日曜ということもあって、昨日よりも多くの人出が予測される。執事のひとりは、バッシュ(皿等の片付け)とスイープ(床掃除)が主な仕事だから大丈夫だろうが、レジ担当の方が少々心配ではある。
 しかし、彼ら以上にピンチな人材がココにいた。
 「シンジ君。俺はここでホットケーキを焼くことしかできない。
 だが君にならできる。君にしかできないことがあるはずだ」
 「それ、絶対この場面で言うべき台詞じゃないよ!」
 昨日、敵前逃亡どころか戦闘参加自体をサボタージュしたクラスメイト梅沢伸治に、シガーチョコをくわえた才人がニヒルに語りかける。
 ちなみに、当の梅沢は、クラス男子の手で家から強制連行され、白のスク水に丈の短いピンクのセーラー服&太ももまでのオーバーニーという格好に着替えさせられていた。聖天使ジブリール……天使つながりか?
 本日のこの"罰ゲーム"のために、昨夜ルイズが腕をふるったのだ。
 「誰も君には強要しない」
 「嘘つけ! 強制しまくりじゃないか!」
 「自分で考え、自分で決めろ。自分が今何をすべきなのか。悔いのないようにな」
 「間違いなく、今僕がするべきことは、逃げることだと思う」
 梅沢のボヤきを無視して、着替えが終わった彼を女子接客係達(午後組)の手に委ねる。
 「──あとは好きにしたまえ」
 「了解。さー、いきましょーねー、シンちゃん」
 「や、やめろー、ブッ飛ばすぞ~~~!
 (1分間の沈黙)
  ……あぁ、そんな………ら、らめぇ~~!!」
 聞くに堪えない絶叫がバックヤードのさらに裏にある女子更衣スペースから聞こえてくる。
 何されているか知りたいような知りたくないような……。いや、知らない方が幸せだろう。才人以下、調理係は聞こえないフリをして開店準備を続けた。

 才人がフライパンを鮮やかな手つきで振るうと、宙に金色の太陽が舞い踊る。
 次の瞬間、焦げ目ひとつないきれいなキツネ色と黄金色のホットケーキが、皿の上に鎮座していた。
 複雑な料理はともかく、元々このテの簡単な調理品についてはそこそこ手慣れていた才人だが、昨日何十枚ものホットケーキを焼き続けた彼のスキルは、もはや「ホットケーキ:A」の域にまで高められている。
 魔界から食いしん坊な魔女っ子が降ってきても、これだけの逸品なら容易に買収できるだろう。
 すかさず、女子の調理係が焼きあがったばかりのホットケーキにバターとシロップをかけ、缶詰のミカンを添える。
 「ホットケーキ一丁あがり~、3番さんへ!」

 さて、順調に思えた喫茶"チャーミング・ピクシー"だが、昨日赤恥をかいて追い返された他校の生徒のひとりが再び来店したことで、微妙な緊張感に包まれることとなった。
 「たいへんだ、平賀! ヴァリエールさんが!」
 黒いローブ姿の少年が調理スペースへと駆け込んでくる。
 今日の調理要員は足りてるため、本来の男子接客係として教室の外で呼び込みをしていたはずの小石川だった。
 「ん? ルイズがどうかしたのか……ってゆーか、小石川、それ何のコスだ? 「スターウ●ーズ」のジャワ?」
 「ちげーよ! 「キ●グダムハ○ツ」のロクサスだっつーの!」
 「いや、そんなにカッコよくねーだろ、どう見ても」
 「う、うるさい! ……て、そんなコトはどうだっていい。例の他校生がヴァリエールさんを連れて校裏に行っちゃったんだ!」

 何故、そんな事態になったかと言えば、問題の他校生の少年が4人掛けの5番テーブルを朝からひとりで3時間近く占領していたからだ。
 「あの、お客様、お食事がお済みでしたら、そろそろご退席お願いしたいのですが」
 そろそろ午後組と交代の番なので、その前に一言言ってやろうと、午前組のチーフ、ルイズがくだんの不良の前に歩み出た。
 ちなみに、今のルイズの格好は、ミディ丈の黒の長袖ワンピースとフリルたっぷりの白いエプロン。袖口にもスカートの裾にもレースがふんだんにあしらわれており、可憐な印象を引き立てている。
 脚元は白いストッキングと黒いローファー。"オリジナル"同様、髪型をサイドポニーにして、トレイを胸元で抱えたその姿は、いかにも「気弱な喫茶店の看板娘」といった風情だ。
 その外観に騙されて、不良がつけ上がったとしても、まぁ無理もない。
 「ンだよ! 別にいつまで、ココにいようが、いーだろぉ。オレは客だぞ」
 「しかし、当店では、2時間以上の連続利用をお断りしておりますので」
 「ああン?」
 ルイズが差し出すメニューのいちばん下には、確かにその旨が記載されている。
 「はッ、どうしてオレが、ココに2時間以上いるって……」
 無言でルイズが差し出すケータイには、このテーブルに座るその少年の姿が。無論、タイムスタンプは3時間近く前だ。
 「チッ! わーったよ、出りゃいいんだろ、出りゃ」
 そう言って立ち上がった不良は苛立たしげに会計を済ませ、いったん廊下に出たものの、再びヘラヘラと薄ら笑いを浮かべながら、入店してくる。
 「"2時間連続"でなけりゃいーんだよな?」
 「なるほど。確かに、その点については議論の余地がありそうですわね」
 ニコリとルイズが微笑う。
 とても愛らしいはずなのに、どこか危険な雰囲気の漂うその微笑は、間違いなくルイズがキレかかっている証拠だ。
 "原作"と異なり、このルイズは滅多に本気で怒ることはない。ボケにツッコむことはあるが、それだって大抵は口だけだ。
 しかし、だからこそ、才人をはじめとする彼女と親しい人は、ルイズが怒るとどれだけ恐ろしいか知っている。
 「ここでは、お客様のご迷惑になりますから」とむしろルイズのほうが、彼を連れて出て行った……というのが真相らしい。

 「ルイズ、早まったマネはしてくれるなよ!」
 調理場から走り出た才人は、ルイズの姿を求めて校舎裏へと懸命に急いでいた。
 実のところ、彼女の身の安全については、皆無ではないがさほど心配はしていない。
 彼の母仕込みの簡単な護身術も心得ているはずだし、何より彼女の場合、"魔法"という心強い力がある。
 問題は、頭に血が上ったルイズが、過剰にやり過ぎてその他校生をボロボロにしないか、だ。
 せっかくの文化祭と彼女自身の短期留学を、そんな無粋な形で終わりにはさせたくなかった。
 才人が現場についた時は、間一髪だったと言えよう。
 ──ボゴン!
 つかみかかる不良の手をかわした小柄なルイズの掌が、金属製のお盆越しに相手の腹部に軽く添えられたかと思うと、鈍い爆発音とともに、冗談みたいに不良がふっとばされる。
 「ぐ……ハッ……い、まの…なん……」
 「爆烈発勁。春気式四極拳の奥義のひとつよ」
 シレッとした顔で大ボラを吹くルイズ。
 「おいおい、そのへんで、もう勘弁しといてやれよ、ルイズ」
 才人は割って入ると、腹を押えてうずくまる問題の他校生に話しかけた。
 「なぁ、兄ちゃん、そろそろ引き時だと思うぞ。昨日赤恥かかされて口惜しかったのかもしれんけど、コイツとやりあうのはハンパな覚悟じゃ無理だって」
 何せ、コイツの異名は"爆烈のルイズ"だからな、とニッと微笑む。
 「ヒィッ!」
 もともとさほど根性のある方ではなかったのだろう。少年は腹を押さえつつ逃げて行った。
 「やれやれ、行ってくれたか……大丈夫か、ルイズ?」
 「ん。へーき……」
 「じゃあ、ないよな? ホラ、右手見せてみろ」
 「あ!」
 爆烈発勁のタネは、もちろんルイズの"爆発"の魔法だ。
 一見、ルイズは"杖"を持ってないように見えるが、実は服の下で右腕にはめた銀のブレスレットが杖の代用品となっている。
 これは、某TRPGにあった"発動体"という概念をハルケギニアの杖にも応用できないか試してみた結果だ。もっとも、ハルケギニアのメイジにとって"杖"はその身分の象徴でもあるので、杖以外の発動体に対する需要は低いだろうが。
 不良の腹に押しつけたトレイの裏面を起点に、最小限の力で"爆発"を発生させ、相手を吹き飛ばした、というワケだ。
 無論、その反作用はお盆を押しつけていたルイズの右手にもかかり、軽く捻挫したような状態になっている。
 「保健室行っとくか?」
 「ううん、大丈夫」
 どちらからともなく、ふたりは人気の少ない体育館の裏口に並んで腰かける。
 「今日で、終わりなのよねー」
 もともと文化祭というものを体験したくてこの高校に臨時編入してきたルイズは、今日まででこの学校を去ることになっている。
 「別に、いたければもっといてもいいんだぞ?」
 「ううん、やめとく。玲愛ちゃんの誕生日祝いも終わったし、魔法学院の授業のこともあるしね」
 立ち上がって、「うーん」と伸びをしたルイズは、才人の方を振り返り、いきなり笑いだした。
 「あはは、才人、エプロンつけたままよ? それに右手に何持ってるの」
 さすがにフライパンは置いてきたものの、右手のフライ返しは握りしめたままだった。何だかんだ言って才人もあわてていたということだろう。
 「それを言うなら、ルイズもメイドっぽい格好のままだけどな」
 「着替える暇がなかったからねー。あ、そーだ!」
 手早く白いエプロンだけ脱ぐルイズ。
 「これなら、普通のワンピース姿でしょ」
 と、タイミングよく、校庭のほうから軽快な「オクラホマミキサー」のメロディーが聞こえてきた。
 「こりゃまた、レトロと言うか……」
 「フィーリング・フォークダンス2007、だっけ?」
 そもそもパートナーが次々変わるフォークダンスで、企画者は、いったいどうやってカップルを作るつもりなのか?
 「企画に無理ありまくりだな」
 と呆れたようにつぶやく才人に、ルイズがニヤッと笑う。
 「こういう時は、意中の女の子と踊ってみせるのが、主人公の義務だと思うわよ、ギャルゲー的に」
 「なるほど。義務だったら仕方ないよな。……一曲お相手願えますか、マドモアゼル?」
 さすがは本物の貴族の令嬢。スカートをつまんで優雅に一礼すると、ルイズは才人の差し出す手を取った。
 「喜んで、フライ返しを持った騎士様」
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以上。最後の最後でちょっとだけ恋人らしい甘い雰囲気に……なってるような気がしなくもないかも。
次回12話で、ついにBEFORE編が幕を下ろします。さよなら、ルイズ! ……って、このあとAFTER編が待ってるワケですが。
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ジャンル : 小説・文学

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