TS掌編ふたつ

カクヨムやらなろうやら向けの投下であまりまとまった時間が取れないため、TS関連は小ネタでお茶を濁しています。以下も、支援所に投下した掌編です。


おやくそく

 タチの悪いTS風邪にかかって女体化し、さらに普通なら風邪の完治とともに元の身体に戻るはずなのに、日頃の不摂生がたたったのか、そのままの身体で固定されてしまった。
 そのままショックで自室に3日間引きこもってたんだけど、業を煮やした双葉姉貴に無理やり部屋から引っ張り出され、風呂に叩き込まれたあと、学園の女子制服(姉貴のお下がり)に着替えさせられてしまった。

 そりゃ、ね。理屈(あたま)ではわかってるんだよ。
 退学するつもりじゃないなら、いずれはこの服を着て学園に通わなければならないってことは。
 でも、まだ、その覚悟が……ほんの半月ほど前までは普通の男子高校生だったんだもん。
 「やかましい! だいたい葉介(ようすけ)の自業自得でしょうが。TS風邪なんて、早めに病院行って薬飲んでりゃ、3日もすれば治って男に戻れるのに、アンタが無精して病院行かないから」
 「だ、だって、あの時は丁度ネトゲのイベントがあって……」
 「そんなモンにうつつを抜かした結果、徹夜続きで風邪が悪化、女性化した状態がずるずる長引いて、挙句に身体が♀状態に順応しちゃったんでしょうが!」
 う゛っ……事実なんで言い返せないぃ。
 「だーい丈夫、アタシも協力するわ。弟時代は放任してたけど、妹となったからには、ビシバシ教育して、どこに出しても恥ずかしくない可愛いJKに仕立て上げて、あ・げ・る♪」
 「え、えっと、お手柔らかにおねがいシマス」

 ──風呂の中でのそんな会話のあと、いつの間に測ったのか、今のボクの身体にピッタリの下着(ブラ&ショーツ&キャミ)を着せられ、そのうえで可愛いと近隣では評判の我が校の女子制服を着せられてしまった。
 「ぅぅ……足元がスースーするよぅ」
 男の頃は、クラスメイトの女の子たちのスカートがヒラヒラするのは目の保養的な意味でうれしかったけど、まさかそれを自分が着るハメになるなんて。
 「ふ、双葉姉(ねぇ)、これ、スカート短過ぎない?」
 「それくらい普通よフツー。アンタも花も恥じらう女子高生なんだから、とっとと慣れなさい!」
 あっさりそう言い切った姉貴だったけど、その後はボクを座らせて、髪を丁寧に梳かしたり、軽くお化粧したりと、色々みだしなみを整えてくれた。

 「ふむ。ま、ざっとこんなモンかしらね」
 そう言って、姉貴の部屋の姿見の前に連れて来られたんだけど……。
 「…………えっ!?」
 鏡の中には、丁越学園高等部の女子制服を着た、ごく普通──よりちょっと可愛い女の子がいた。
 TS風邪の影響で急激に伸びた黒髪は、ごく自然な感じのウェーブをした髪型に整えられ、白のカチューシャで飾られている。
 我が校の女子制服(春秋用)のトップは、白いブラウスの上から赤を基調にした前開きボレロを羽織り、ウエスト部分をフェイクレザーのコルセットで締め付けるんだけど……。
 たった10日間でアンダー70のDカップにまで立派(?)に育った胸の部分がコルセットのおかげで強調されて、数値以上の巨乳に見える(おまけにたゆんたゆんと揺れる)。
 ボトムは白いフリルで裾を飾られた膝上20センチの赤いミニフレアスカート。足に履いた白いニーソックスとの間に絶妙な絶対領域を作り出している。
 顔は──うん、まぁ、平均レベル。ひいき目に見て70点くらい? 姉貴みたいな「100点オーバーの美少女」には到底及ばないけど、オカマっぽいとかそういう不自然さは全然なくて、“普通に”女の子に見える。

 「う…そ……これが、今のボク?」
 「うーん、ボクっ子もいいけど、この際、一人称も“ワタシ”に変えちゃいなさいよ、葉介……ううん、若葉ちゃん♪」
 双葉姉にそんなことを薦められ、改名した女性名で優しく呼びかけられると、それが当たり前のことのように思えてくる。
 「──これが、ワタシ?」
 ちょこんと小首をかしげながら鏡を見返すワタシ。
 (ヤバい。なんかすっごくゾクゾクする。ワタシってば結構可愛くない!?)

 「(ふ、堕ちたな)そうよ、これが今の──そしてこれからの貴女なの。でも、今の状態は、女の子としてのギアをローからせいぜいセカンドに入れたくらい。もっともっと磨けば光るわよぉ」
 背後からピッタリくっついた双葉姉に耳元でそう囁かれると、本当にそう思えてくるから不思議。
 「──もっと可愛くなれる?」
 「ええ、もっちろん。なんたって、アタシの妹なんだから♪ おねぇちゃんも喜んで協力してあげる」
 「うん……お願いします、双葉おねぇちゃん」
 
#このあと女子力を熱心に磨いた葉介改め若葉ちゃんは、学園を卒業する頃には、某デレマスの鷺●文香さんみたいな「一見地味だけど前髪あげるとすごくかわいい」感じの美人に成長する──という妄想


婚活の日

──199X年、地球は核の焔に包まれた!

 ……わけではなかったが、それに等しい惨禍が人類を襲ったというのは、あながち間違いでもない。
 ABC兵器に関する条約を無視して、某国の研究機関が極秘裏に開発していたウィルス兵器「TS-88」が、売国奴の手によって外部に持ち出され……。
 しかも買い取り側に運ばれる途中でケースが破損し、危険な「TS-88」が大気中にバラ撒かれてしまったのだ!!
 このTS-88に人が感染すると、女性には何ら影響がないが、第二次性徴を迎えた男性は97%の確率で衰弱死し、運よく生き残っても生殖機能を喪う。
 そしてそれ以前の年齢の男性は体内のY染色体が破壊されX染色体に置き換えられる。さらに、成長するにつれて精巣や陰茎などの男性器が卵巣と陰核に変化し、胎内に子宮や膣孔なども形成されていく。
 つまり、遺伝子的にも身体的にも完全に女性になってしまうのだ。
 この事実が判明し、各国に周知された頃には時すでに遅く、人類の生存圏の90%近くにTS-88が蔓延していた。
 未感染の健常な年少の男子は、赤道直下の常夏の国に僅かに残るのみ。これはTS-88が35度以上の気温に長時間さらされると死滅するという性質によるものだ。
 しかしながら、先進国と称される国のほとんどは温帯から寒帯に位置している。つまりそれらの国では、近い将来、若い世代がすべて女性となることが確定してしまったのだ。

 これによって、世界はその有り方を大きく変えることとなった。
 世界各国では、若年人口のおよそ5%程度の特に優秀な女性のみが選出され、赤道直下の国へ送り込まれる。現地で成人男性と婚姻・性交し、妊娠が確認されると帰国して、子を出産するのが慣習となる。
 ちなみに、母胎内で男児がTS-88に感染しても症状が現れず、キャリアーとなる。ただし、キャリアーの場合、逆に第二次性徴を迎える頃に発症し、Y染色体の消失と身体の女性化を経験することになるのだ。
 この妊娠・出産を行う資格を持つ女性は「クイーン」と呼ばれ、非常に高い社会的ステータスを持つ。既定の人数(日本なら10人)出産するか、一定の年齢(日本だと36歳)になると、赤道の国へ移住し、婚姻した男性とともに暮らすことも認められる。
 なお、出産したひとり目の子は自分の子として育てられるが、第二子以降は国がいったん引き取り、希望する成人女性のもとに養子に出されることになる。

 それでは、クイーン以外の95%の女性(生来の♀も元♂だった♀も)のライフスタイルはどうなのかと言えば……単刀直入に言えば、女性同士の同性婚が認められているのだ。
 特に高校(いうまでもなく女子校である)の卒業式前後は、今後の人生のパートナーを見つけようと彼女たちが一斉に婚活に走るため、卒業パーティーなどはほとんど婚活の場と化していると言っても過言ではないのだ。

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No title

 今さらですが、「婚活の日」の元ネタってSF大作の「復活の日」でよろしいのでしょうか?自分あの作品大好きで、アイマスキャラで「復活の日」やるなんて暴挙に走ったこともあります。ウィルスや奇病によるTSFもメジャーになりましたが、古典的な名作から学ぶべき点は未だに多いですよね。


Re: No title

ええ、まぁ、たまたまネタ動画で(復活の日)見て、つい思いついてあんなの書いちゃいました。一応、「種」の確保はできるので、原作よりはマシで人類滅亡はしないはず? でも某所の男友達的世界になりそーだなぁ

>  今さらですが、「婚活の日」の元ネタってSF大作の「復活の日」でよろしいのでしょうか?自分あの作品大好きで、アイマスキャラで「復活の日」やるなんて暴挙に走ったこともあります。ウィルスや奇病によるTSFもメジャーになりましたが、古典的な名作から学ぶべき点は未だに多いですよね。
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