『艦娘は大和に恋してる』(プロローグ)

 ピクシヴで前回書きあげた「提督北上化SS」正式版の反響が少なくて、ちょっとガッカリ。試作版での反応は悪くなかったのでイケると思ったのですが、期待コメントくれた人だけにウケてたということかも。
 その反動というわけでもないのですが、カクヨムの「牧瀬双葉は~」もなろうの「BtbB」も続きを書く気力が湧かず。
 頭カラッポにして思いついた艦これSSの書き出し部分をこちらに掲載してみます。


艦娘(おとめ)は大和(おねえさま)に恋してる

 戦艦・大和と言えば、日本のみならず世界的に見ても、もっとも知名度および人気の高い軍艦のひとつである。
 20世紀末の深海棲艦による人類襲撃と時を同じくして現れた艦娘──在りし日の軍艦の霊基(こころ)と武装(ちから)の一端をその身に宿した存在。
 その艦娘の中には、大和の魂(大和魂ではない──いや、あながち間違ってもいないが)を受け継ぐ者も存在する。

 かつて軍艦(ふね)であった頃も、大和はその威容と美しさで見る人を魅了したが、艦娘としての大和もまた、美しさと力強さを兼ね備えていた。
 黒に近いしなやかな焦茶色の髪を頭頂部の後ろでポニーテイルに結わえ、結び目のあたりには桜の造花が飾られている。
 瞳の色は髪よりはやや明るめの茶色。目鼻立ちははっきりしているものの全体的には日本女性らしい繊細さを備えた端正な容貌だ。
 紅白の袖無しセーラー服のような衣装をまとい、首元に結ばれているのはスカーフではなく金の注連縄。ボトムは赤のミニスカートで、左右で長さの異なる紺色のニーソ&ハイソを履いている。
 右手にはアンテナ機能を兼ねた赤い和傘を持ち、背中には超弩級戦艦らしい重厚かつ武骨な基本艤装を背負っている。
 身長は180センチ強と日本人女性としてはかなり高めだが、バランスのとれたプロポーションのおかげもあってか、非常に女性らしい優美さを感じさせる。平素の性格が控えめで淑やかなこともあって、彼女と会った人は「大和撫子という言葉を体現したようだ」と感じることも少なくない。
 ただし、戦時には一転、凛々しく勇ましい口調で味方を鼓舞し、また率先して敵を打ち破るという「日本の戦艦の代名詞」と呼ぶにふさわしい戦闘能力を備えているのだ。

 このように外見・性格・能力の三拍子が備わっていることもあり、戦艦娘・大和の人気は、軍・民間問わず非常に高い。
 彼──萩野知也(はぎの・ともや)も、そんな大和に憧れる少年のひとりだった。
 ただ、彼が単なるミーハーな艦娘ファンと一線を画したのは、自分もいつか提督として大和を指揮したいと考え、中学3年の夏、15歳の誕生日を迎えるとともに最寄りの海軍施設──鎮守府へと足を運び、“適性検査”を受けたことだろう。
 深海棲艦との戦いが人類劣勢であった往時と異なり、現在では、この提督としての素質を計る適性検査は義務ではない(もっとも、入学時の身体検査と同時に行っている高校もそれなりの数存在するが)。
 また、児童保護の観点から(かつて中学生が軍に引っ張られた反省も込めて)15歳未満では受けられないのだが、逆に15歳以上であれば任意に受けることも可能だ。
 そして、その適性検査の結果判明した萩野少年の提督としての資質は、“D”──「多大な努力をすれば、2~3人の艦娘と同調できないこともない」というもので「適性に乏しい(事実上の不合格)」、だったのだが……。

 「えっ、オレが艦娘に!? だってオレ、男ですよ?」
 鎮守府の司令官から直接聞かされた情報に目を白黒させる知也。
 司令官は「これは三級機密に該当するので、みだりに口外しないように」と断ってから、数万人にひとりという割合で、男性でも艦娘になる資質を持つ者がいることを明らかにする。
 「検査の結果、君には、駆逐艦娘および軽巡洋艦娘のいずれかになることができる資質が確認された」
 その情報を聞いて、知也は悩む。
 提督になれる可能性が非常に低い(≒0)のは残念だが、艦娘になれば大和と肩を並べて戦う機会もあるかもしれない。考えようによっては、大和と親しくなれるチャンスだと言ってもよいだろう。
 しかし、どちらも軍人とは言え、後方で指揮する提督に比べ、最前線で戦う艦娘の殉職率は決して低くない。
 それに……。
 「そのぅ、艦“娘”ってことは、えーと……」
 「うむ。身体は女性化するな」
 「(や、やっぱり~!)う、うーん」
 思春期の少年(に限らないが)にとっては性別が変わることは、下手すると命の危険以上の一大事である。

 「なに、今すぐ決断しなけれはいけないわけではない。特に、君はまだ中学3年生だ。中学卒業してから軍に入っても、決して遅くはないだろう」
 司令官である国木田准将は、優しい口ぶりでそう告げる。中一の息子と小六の娘がいる彼にとっても、子供たちと近しい年代である知也の葛藤は看過し難いのだろう。
 しかし、結果的には諭すような彼の言葉が、逆に萩野少年の決意を促すことになる。
 「──いえ、オレ、艦娘になります!」
 「そんなに簡単に決めてもよいのかね? ご両親とも相談して……」
 「両親はすでにいません。現在は、叔母の家にお世話になっていますが、ちょっと……」
 知也は口を濁したが、おおよそは推測できる。おそらくその叔母の家庭での居心地があまりよろしくないのだろう。

 それでも、念のため保護者の許可等をもらってくるように伝えて、その場は少年を帰したのだが、2週間後の七月末──学校が夏休みを迎えたであろう頃に、荻野知也は再び鎮守府を訪ねて来た。
 少年は、前回言われた通り、保護者(叔母夫婦)の軍入隊同意書と、通っている中学校の転出用書類を携えていた。
 「──本気なのだね?」
 「はい、そのつもりです」
 「そうか……」
 准将もそれ以上は翻意を促す言葉は投げかけなかった。
 「わかった。艦娘になってこの国を護るために戦いたいという君の意思を尊重しよう。
 それで──駆逐艦と軽巡洋艦のいずれを目指すかね?」
 「えーと、艦娘としての特性はおおよそ知ってますけど、それ以外の違いをお聞きしてもいいですか?」
 知也の質問に司令官は頷く。
 「もちろんだとも。
 まず、君の場合、駆逐艦娘になるための適合率が非常に高い。駆逐艦になることを選べば、簡単な基礎訓練だけで即戦力になれるだろう。また、適合率の高さは元の人格──記憶や性格の保持にもつながる」
 艦娘になると、容姿はもちろん、精神的な変化もあるとは聞いていたので、記憶などがあまり変わらないというのは、朗報だろう。
 「待遇面で言えば、君はまだ義務教育を終えていないから、週に4日8時間分、鎮守府内に設けられた駆逐艦娘用教室で一般教育授業を受けることになる。教室には、他にも同様の駆逐艦娘がいるから、ちょっとした小人数制クラスみたいな趣きだ」
 何となく女子中学校的なノリが想像され、知也としても、ちょっと心惹かれるものがないでもない。

 「一方、軽巡洋艦娘の場合、適合率が駆逐艦娘ほどは高くないため、記憶と性格の保持に多少の問題がある可能性もある。簡単に言えば、その軽巡娘としてのパーソナリティに幾許かは浸食されるだろう」
 「パーソナリティの浸食……それって」
 「うむ。簡単に言えば「君が君ではなくなる」ということだな。とは言え、100%完全に別人というわけではない。現在の数値からは40~50%程度の浸食が予測される」
 つまり、半分近くは“自分”ではなくなってしまうわけだ。具体的には想像つかないが、それは恐ろしいことのように思えた。
 「反面、メリットはその“強さ”だ。用途や燃費などの問題もあるから単純な比較は難しいが、単に“戦力”として見るなら、おおよそ軽巡娘のほうが駆逐艦娘よりも“強い”と言って差し支えないだろう」
 夜戦での雷撃戦など一部例外はあるがね、と准将は付け加える。
 “強い”というのは確かに魅力的だ。
 RPGなどのゲームならば「弱いキャラでもレベルを上げて強くすればいいじゃん」と言えるかもしれないが、これは現実であり、戦うのが自分自身なら、「農夫(ファーマー)」より「戦士(ウォーリアー)」や「槍騎兵(ファランクス)」の職業(クラス)に就く方がいいに決まっている。
 (いや、ファーマーはファーマーで、採集とか探知とか色々やれることはあるんだろうけどさ)
 何となくそんな風に心の中で言い訳してしまう知也は、実は隠れ「世〇樹」プレイヤーだったりする。

 「さて、荻野くん。君は、どちらを志望するかね?」


◇「自分が自分じゃなくなるのって、やっぱり少し恐いんで……駆逐艦になります」
 ⇒萩風ルート
 ・女子校で言うなら、大和が全校生徒の憧れの3年生のお姉様で、萩風は、そんな大和に遠くから憧れている1年生モブ的ポジションに。しかし、ある日、突然、その大和(おねえさま)から声をかけられて……。

◆「漢(オトコ)は度胸、思い切って軽巡を目指します!」
 ⇒矢矧ルート
 ・鎮守府という名の女子校における敏腕生徒会長的ポジの大和と、その1学年後輩にして右腕的ポジションの矢矧という疑似姉妹(スール)的関係の話に……。

── ── ──
……てな感じで、おなじみ私の艦これ話(『鎮守府戦線、風強く波高し』から続く世界観)の系譜を引く、TS物になる予定。
続きは18禁というかR15的要素があるので、ピクシヴ掲載になるかもしれません。

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