『召喚契約にご用心』4

すっかり忘れていた「3」の続きを。
こちらでは「4」を先に公開することになってしまいましたが……。


召喚契約にご用心~名札はキチンと付けましょう3~



 とりあえずふたりの間では話がついたので、夕飯を食べるため、おそるおそる部屋の外に出てみたエイルとガンドーラだったが──結論から言うと、呆気ない程スムーズに事は運んだ。
 「お、ガンドル、ようやっとパートナー召喚できたのか……って、まさかバルキリー!? マジで成功したのか? すげぇ!!」
 「え!? あぁ、シャノン…か。うん、なんとかな」
 「あらあら、可愛らしい戦乙女さん♪ ガンくん、よかったですね~」
 「ははっ、ありがとう、フリギア先生」
 寮の廊下や学生食堂で顔を合わせたエイルの知人の学生や教師達は、ガンドーラの方を、この魔法学校の男子生徒として認識し、挨拶したり、話しかけたりしてきたからだ。

 その際、「彼」の名前が「ガンドル」という男性形になっていることを知れたのはひとつの収穫だろう。後で確認すると、ネームタグの方も、いつの間にかそう署名されていた。同じくエイルのネームタグには「エイラ」と記されていた。

 「まぁ、お前さんは入学当初から「頭のいい脳筋」のクセに、ヘンにロマンチストなとこがあったしな」
 「ほっとけ!」
 「シャーくん、他人の夢を小馬鹿にするようなことを言ってはいけませんよ~」
 「あぁ、フリギア先生の思いやりが身に染みるぜ」

 また、「ガンドル」の方も、見も知らないはずの人間との会話なのに、なぜか適当についていけているのだ。これも立場が入れ替わったことによる補整なのだろうか。

 「ちょっとちょっとー、ガンドルがバルキリーを召喚してパートナーにしたってホント? 見せて見せてー……きゃあ、カワイいーー!」
 「くっ……学年首位のこのボクが、席次3位の田舎者に遅れをとるとは、一生の不覚! 其処な戦乙女、このようなガサツ者の何処が良かったというのだ!?」
 「いえ、その、あはは……」
 さらに言えば、「エイラ」のことも、高位妖精バルキリーを召喚したということで感心されたり羨ましがられることはあったが、誰もそれが昨日まで共に机を並べて学んでいた学友であるとは気付いていないようだった。

 いきなり「同級生」になった「少年」も、「お客様」として歓迎されることになった「少女」も、その対応に戸惑いつつ、ボロを出さないように場の雰囲気に慣れるため、全神経を集中し、何とかその日の夕食をやり過ごすことができたのだった。

 そして翌日、「ガンドル」(本来はエイル)の指導教官であるクリステラの研究室に出頭したふたりに言い渡された“試練”の内容は……。

 「ガンドル君、この学園の地下に訓練用の人造迷宮が用意されていることは知ってますね?」
 「ええ、まぁ、詳しくはありませんが(ホントは初耳だけど……)」
 「よろしい。貴方達に課せられた試練は、一週間以内に魔術学校の地下に広がる人造迷宮の地下3階までたどりつき、その階のどこかにある大広間の宝箱から中身を取ってくることです」

 これは、かなりの難題だった。
 この学校の卒業課題が、生徒3人(+各自のパートナー)で組んで、地下5階まで踏破して最深部のボスを倒すことであることを考えれば、3年に進級したばかりの彼らにとってどれだけハードな課題かは、想像がつくだろう。
 もっとも立場を交換しているとは言え、戦乙女とそれなり以上に優秀な魔術師のコンビにとっては、容易ではなくとも決して高すぎるハードルというわけでもなかった。

 「魔術学校の3年生の少年魔術師」という立場になっている「ガンドル」は、本来その立場にあったエイルが優等生だった余禄か、「学業優秀なうえ、体術にも秀で、さらに気さくで明るい好青年」という評価を得ていた。
 否、他人からの評価だけでなく、実際にここの学生が2年生修了時までに覚える魔法はすべて使いこなせたし、座学に関しても先生から当てられた際、スラスラと答えることができたのだ。

 一方、「戦乙女エイラ」の方も、その華奢な体格は変わっていないはずなのに、バルキリーの立場になっているせいか、前衛として戦うのに十分以上の槍の腕前と、戦乙女にふさわしい光の術法の数々を会得していた。

 そんなある意味「いいとこ取り」状態になっているうえに、「基本は豪胆なガンドルが積極的に進みつつ、慎重な性格のエイラがフォローする」という、召喚者とパートナーの理想的な関係を築いているのだから、そうそう失敗するはずもない。

 諸々の条件が奇跡的にかみ合った結果、期限の一週間から3日も余裕のある僅か4日間で、ふたりは課題を達成することに成功したのだった。

-つづく-
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Re: No title

>キユ様さん
えーと、長々と書きこんでくださったのですが、私のところで書く予定はありません。
また、ウチは一般投下サイトでもありませんので、感想欄への長文創作投下は
申し訳ありませんが、原則拒否させていただきます。
これだけ書きためているなら、ご自分で書かれてどこかの小説サイトに投稿するなり、
自分でサイトを持つなりされるのがよろしいかと。
プロフィール

KCA(嵐山之鬼子)

Author:KCA(嵐山之鬼子)
Pixiv、なろう、カクヨムなど色々書いてます。感想などもらえると大変うれしいです。
mail:kcrcm@tkm.att.ne.jp

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