『Win-Win-Win!?』

 ふと衝動的に思いついて、某スレに投下した小ネタ。女-女間の立場交換です。誤字脱字チェック&修正したものを、こちらにも載せておきます。年齢の数字も変更済み。ちなみに、キャラクターの名前はモバマス由来で、各自のルックスもそれをイメージしてます。


Win-Win-Win!?

First Girl's Side

 「天国のお母さん、どうかみなみお姉ちゃんみたいなやさしいママをください……」
 ──なぁんてね。
 いくらわたしが小学生でも、七夕にお星さまにお祈りしたくらいで、こんな願い事がかなうなんて思ってないよ? リカだって、もう4年生なんだもん。
 はぁ~、美華ママ、どうして死んじゃったのよー!!
 うん、これがやつあたりだってことくらいわかってる。3年前に交通事故で死んだママだって、まだ20代だったんだし、わたしやパパを置いていきたくなんてなかったはずだもん。
 でも、パパもパパだよ。ママが死んで1年ちょっとしか経たないうちに新しい奥さんをもらうなんて……。
 美華ママは、娘のわたしから見ても、とっても美人で明るくて、家事が上手なステキな女性だった。
 でも、パパの新しい奥さんは、小学生の目から見てもサイアク。
 結婚式のとき22歳、今は24歳で年令だけは若いけど、お化粧が濃いし服もハデだし、顔だって美華ママには全然及ばないし、お料理もお掃除も全然しないし、それなのに昼間しょっちゅう家を空けて遊びに出かけてるみたいだし……。
 わたしとあんまり話さないのはお互いさまだからしかたないけど、パパとだってあんまの仲よさそうに見えない。あんな人、絶対ママなんて呼んであげないんだから!
 こないだ家に来たパパのお友達の赤根おじさんは、「理佳ちゃんのパパはね、ハメられたんだよ」って言ってた。そうだよね、でなきゃ、ママを愛してたパパがあんな女の人に引っかかるはずないもん。
 はぁ~、どうせ新しい奥さんをもらうんなら、おとなりのみなみお姉ちゃんみたいな人にすれば良かったのに。
 あのね、みなみお姉ちゃんはまだ高校生なんだけど、とっても美人でやさしいの。小さいころからパパとは兄妹みたいに仲がよくて、リカのこともいろいろめんどうみてくれてるんだ。
 死んだ美華ママとはイトコどうしで、美華ママはみなみお姉ちゃんの家に遊びに来ていたときパパと知り合って、おつきあいを始めたんだって。
 それにね、リカ知ってるんだ。みなみお姉ちゃん、パパのことが好きなんだよ。
 え? どうしてわかるかって? もちろん、女のカン! ……って言いたいところだけど、そんなのお姉ちゃんの視線とか表情見てたらバレバレだよぉ。
 あ~あ、みなみお姉ちゃんが新しいママだったら、わたしも素直にふたりのこと“しゅくふく”できたのになぁ。
 あ、流れ星!
 「お姉ちゃんがママになりますように、お姉ちゃんがママになりますように、お姉ちゃんがママになりますように……」
 よーし、3回言えたっ!
 ふわぁ~、思い切り気合い入れたせいか、集中がとけたら眠くなってきちゃった。
 おやすみなさーい。せめて夢の中だけでも願い事がかなってるといいなぁ……。

 『大丈夫、その願い、確かに天に届いたから』

 ふぇ……だ、れ…………ぐぅ。


Second Girl's Side

 私の名前は藤原みなみ。17歳の高校2年生です。
 じつは私、恋しちゃいけない男性に片思いしてます。その人の名前は、城崎順一さん。家がお隣りどうしで幼い頃からの知り合いです。
 小さい頃は、本当のお兄さんみたいに思っていて、順一さんも私のことを妹みたいに可愛がってくださいました。
 10年ほど前、順一さんが従姉の美華さんと結婚なさったときは、小学1年生だったクセにいっちょまえにショックを受けたり……ふふっ、たぶん幼き日の初恋、だったんでしょうね。わりとマセた子でしたから。
 けれど、それからも我が藤原家とお隣りの城崎家は以前と変わらぬお付き合いを続け、私にとっても順一さん、美華さんは頼りになるお兄さん、優しいお姉さんでしたし、おふたりの娘さんである理華ちゃんはかわいい妹分でした。
 ──そう、3年前に美華さんが交通事故で亡くなるまでは。
 当時の順一さんと理華ちゃんの悲しみは傍から見ていても辛いくらいでしたが、理華ちゃんはとても強い子で、お父さんを励ましながら徐々に前を向いて歩くこうと努力していました。
 けれど、順一さんは、巧く立ち直れなかったのかもしれません。
 笑顔が消え、お酒を飲む回数が増え、反対に口数が減り……そして、1年後、(聞いた話ですが)「一夜の過ち」の責任を取る形で、同じ会社の女子社員の方と再婚されました。
 お相手の朱鷺子さんは、まだ女子大を出たての新入社員で、確かに綺麗な方ではあったのですが……その、服装やお化粧が派手で、性格も高飛車というか気の強いタイプで、私は正直あまり好きになれません。
 案の定、というと失礼ですが、順一さんの再婚は傍から見ても上手くいってないようでした。
 それまでと変わらず、いえこれまで以上に順一さんは無口で精彩を欠いたご様子。そればかりでなく、理華ちゃんまで元気がなくなっているようです。
 私も、お料理を差し入れしたり、理華ちゃんをウチに招いたり、勉強を見てあげたりして、できる限り気をつけてはいるつもりですが、単なる隣人では、やはり限界があります。
 「嗚呼、こんなことなら、美華さんが亡くなった時、時期を見はからって告白していればよかった……そしたら、もしかして私がおふたりの面倒を見てあげられたのに」

 『その言葉に偽りはない?』

 もちろんです! ……って、誰!?

 『じゃあ、少しだけ力を貸してあげる──順一と理華のこと、よろしくね』

 待って! もしかして貴女は、み……。


Third Girl's Side

 あー、もう! ったく、失敗したわ。結婚なんてするんじゃなかった。

 そもそもこのアタシに働け働けってうるさい、クソ親父とババアがいけないのよ!
 モデル事務所に登録して、時々は仕事もらってたんだから、それでいいじゃん。
 それなのに親父のコネでショッボイ会社に無理矢理就職させられて……。
 コピーだお茶くみだ資料整理だって、そんなツマラナイ仕事をドカドカ押しつけないで頂戴!
 だから、何とかこの退屈な仕事から上手く抜け出すために、アタシは社内で適当な相手を見つくろって結婚することにしたのよ。
 金持ちで美形……なんてのは、流石にこの会社じゃあ高望み過ぎることがわかってたから、「経済的に安定してて、ワガママきいてくれるチョロそうな相手」で妥協することにしたわ。
 で、ちょうど奥さんが死んで隙だらけだった今のダンナ──城崎順一を食事に誘って、グデングデンに酔わせて手を出させてから、翌朝、脅すようにして結婚の約束を取り付けたってワケ。
 城崎は一応係長だし、背は高めで顔もそれなりだし、そこそこ広めの家持ちらしいから、このままのんびり主婦生活するのと引き換えに、時々ならベッドで相手してやってもいいか……って思ってたのよ。
 ま、コブつきだったのは誤算だけど、城崎の娘の理華って子は、もう小学校に通ってて、昼間は家にいないから、そんなに気を使うこともないでしょ、と気楽に構えてたんだけど……。
 あー、ナニ、この敵意バリバリのお子ちゃまは! 顔はそれなりにかわいらしいのに、アタシ対してはナマイキでかわいくないったらありゃしない。
 おまけに、主婦なんて適当に家でダラダラしてれば済むと思ってたのに、掃除だのご飯の支度だのをやれやれって、プレッシャーかけてくるし……。
 アタシはね、実家でだって一度も台所に立ったことがない女よ? 料理なんて小中学校の家庭科の時間くらいしかやったことないんだから(高校の調理実習はフケてたし)。いいじゃない、ご飯なんて、出前か出来合いのもの買ってくれば。
 掃除なんて週に一回、適当に掃除機かけときゃ、十分よ! ゴミの分別? そんなめんどくさいコト、なんでアタシがしなきゃいけないの?
 洗濯は一日おきにしてあげてるんだから、むしろ感謝してほしいくらいだわ!
 それなのに理華だけじゃなく、城崎まで陰気臭い顔でいつもムッツリしてるし……。
 ストレス発散のために昔からのツレと外に遊びに行くんだけど、そのたんびに城崎(ボンクラ)もその娘(ガキ)も、責めるような目でアタシを見るし……。

 もぅ、アタシ、なんこんな男と結婚なんかしたんだろ。
 あー、高校の頃は良かったなぁ。難しいことなんて考えないで気楽に遊べたし、周りもちやほやしてくれたし……。
 できるなら、あの頃に戻りたいわ。

 『──その願い、かなえてあげるわ』

 へっ!?


And then

 とある住宅街にある一軒家の一室──子供部屋のベッドの上で10歳くらいの少女が眠っているが、目ざまし時計が7時を指す直前にパチリと目を開いて布団の上に身を起こす。
 「ふわぁ~、なんかヘンな夢見たかも……」
 眠そうな目をこすりつつ、ベッドから降りたところで、階下から漂う美味しそうな匂いに気づく。
 「クンクン……今朝はおあげのおミソ汁と焼き魚かな?」
 昨晩のうちに学習机の上に用意しておいた服に着替えて、階段を降りる。
 ダイニングキッチンに入ると、そこには見慣れた人影がエプロンを着けて忙しそうに朝ご飯の支度をしていた。テーブルの前の椅子のひとつには、男性が座って新聞を読んでいる。
 「おはよう、パパ、ママ!」
 元気良く挨拶する少女に気づくと、「ママ」と呼ばれた女性も振り向き、にっこり微笑む。
 「あら、おはよう、リカちゃん」
 「ああ、おはよう、理華」
 男性の方も新聞を畳み、娘に向かって朝の挨拶を返した。
 「今朝は随分早いわね」
 「うん、昨日はちょっと早めに寝たからかも」
 「宿題はちゃんとやってあるのかい?」
 「もち! 任せてよ」
 何気ない朝の家族の会話。
 それなのに、どうしてこんなに嬉しく感じるのだろう。
 何故かわからない感慨に胸を締め付けられながら、理華は急いで洗面所に向かい、こみ上げる涙を誤魔化すように乱暴にバシャバシャと顔を洗った。
 その後、「いつも通り」優しい継母の料理を食べ終え、会社に行く父親の見送りをしてから、理華も朝の身支度にとりかかる。
 小学4年生と言えばそろそろオシャレにも気をつかい始める年代だが、そちらに関しても継母のみなみはとても頼りになる女性だった。
 「リカちゃん、だいぶ髪が伸びてきたわね。せっかくだから、リボンでこんな感じにツーサイドアップにしてみるのはどうかしら」
 慣れた手つきで、みなみは鏡台の前に座らせた理華の髪を整える。
 「わぁ、ステキ! うん、今度から、コレにする」
 ふと思いついて悪戯っぽい表情を浮かべる理華。
 「ねぇねぇ、みなみママも髪長いんだし、お揃いの髪型にしようよ」
 「ええっ!? ま、ママはもうオバさんだし、そんなの似合わないわよぅ」
 あたふた慌てるみなみだったが、かわいい娘に「お願い♪」とねだられて、渋々、両サイドをリボンでくくった、俗に「ツインテール」と呼ばれるヘアスタイルにしてみせる。
 「や、やっぱり恥ずかしぃ」
 「そんなコトないよ! ママ、とっても可愛いよ!!」
 顔を真っ赤にするみなみだが、理華の言う通り「20代半ばとは思えぬほど若い美人」なので、鏡に映るふたりの様子は、母娘というより少し離れた美人姉妹と言った印象だ。
 「その髪型でお迎えすれば、パパもイチコロだよっ!」
 「もぅ、何を言ってるの、この子は」
 呆れたような言葉を紡ぐみなみだが、実はその晩、ツインテールに加えて(なぜかタンスにあった)高校時代の制服──紺色のブレザー&ボックススカート姿で夫との「夜戦」に臨み、大激戦を繰り広げることになる……ことは、無論、理華の預かり知らない話である。

 「行ってきまーす!」
 元気に挨拶をして家を飛び出した理華は、ちょうど同じタイミングで隣りの藤原家から出て来た、制服姿の少女(?)と鉢合わせすることになる。
 「わわっ、と」「きゃっ!」
 理華の反射神経が優れていたおかげで、寸前で衝突は回避できたのだが、姿勢を崩した少女(?)の方は、そのまま地面に尻もちをついてしまう。
 「ちょっとぉ、リカ、気をつけなさい!!」
 「ご、ごめんなさい、トキコ…おねーちゃん」
 怒鳴られてシュンとする理華を見て、さすがに小学生相手に大人げないと思ったのか、朱鷺子も表情を和らげる。
 「顔見知りのアタシだったからいいけど、知らない人にブツかったらゴメンじゃすまないこともあるんだからね」
 立ち上がりながら、パンパンとスカート(膝上20センチ近いミニ)の埃を払うと、パンパンに膨らんだ(教科書ではなく着替えの私服が入っているのだ)学生鞄を片手に歩き始める朱鷺子。
 途中まで同じ方向なので、理華も何となく一緒に歩き始めた。
 家が隣り合っているとは言え、親同士はともかく、理華と朱鷺子はあまり親しいつきあいがない。それでも、こうやって顔を合わせればポツポツ会話ぐらいはする仲だ。
 「えっと、トキコ、おねーちゃん、その制服って改造してるの?」
 スカートが短いばかりでなく、制服のブラウスも、リボンタイを外し、胸元を大きく開けているため、隙間から見せブラが覗いている。
 「そうよ。カッコいいでしょ」
 「えーっと……その、うん、“せくしー”だね」
 空気の読める理華は、慎重に言葉を選ぶ。
 「まだ17歳とは思えぬほど成熟した顔つき&体つき」の朱鷺子は、高校の制服を着ていなければ間違いなく成人女性に見られる。
 私服で遊びに行く時などは便利(盛り場でもまず補導されないのだ)なその特徴も、こうして通学する際には悪い意味で目立つ。口の悪い人間なら、「イメクラのコスプレみたい」と表現しただろう。
 もっとも、(フケて見えるとは言え)それなりに美人でグラマーなことも確かなので、同じ高校の男子生徒には結構モテている。中学から高校くらいの年代の少年は「大人っぽいセクシーな女性」に弱いものだ。
 ある種のマドンナというか「女王様」扱いに、朱鷺子自身も満足しているので、まぁ、これはこれでアリなのだろう。
 「そう言えば、アンタも髪型変えたのね」
 「うんっ! ママがやってくれたの。ね、ね、かわいい?」
 嬉しそうに聞く理華の様子に呆れたような視線を向ける朱鷺子。
 「ガキっぽい……けど、まぁ、アンタみたいなお子様には、似合ってるのかもね」
 「えー、何、それ、ほめてるの?」
 「はいはい、かわいいかわいい──じゃ、アタシはこっからバスだから」
 「あ、うん……じゃあ、またね、トキコおねーちゃん」
 ブンブンッと手を振りながら小学校の方に駆けていく理華を、バス停から眺めながら、心の奥底に何故かわだかまっていた罪悪感のようなものが、静かに解けて消えて行くのを、朱鷺子は感じていた。

<おしまい>

#以上。蛇足気味に解説すると、17歳の女子高生・藤原みなみが「小金持ちな岸部家の24歳の娘で、城崎の後妻&理華の継母」という立場になり、24歳の元OL/現主婦(?)の岸部朱鷺子が「城崎家の隣りに住む藤原家の17歳の娘」の立場になったと思ってください。無論、服装や化粧以外の本人の外見は、変わっていません。
 理華&みなみだけでなく、朱鷺子もそれなりに幸せな立場にしたのは、彼女も彼女なりの言い分はあった(不本意な就職・義務的な夫・他人行儀な義娘など)から。
 朱鷺子の場合、岸部家の両親に甘やかされすぎてああなった側面も多々あるので、それなりにしつけに厳しい藤原家で育てば、高校卒業後ももうちょっとマシな女性になれる、かも!?
 逆に、みなみの場合は、ただけさえ品行方正な良家の子女だったのに、さらに岸部家の財力+娘贔屓が加わった結果、恐ろしいほどの資格&教養持ちのお嬢様にランクアップ(お茶・お花・バレエ・ピアノなど、お金のかかる各種お稽古事を真面目にこなしたたため)。無論、花嫁修業もバッチリなので、城崎家に嫁入りしても問題ありません。
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