『必然と言う名の朱い糸』

今時はメイドロボとか人造少女とかはやらないのだらうか……と、微妙にショックを受けて見たり。
いや、本作の18禁版とかTH2のイルファさんSS(ここにも掲載している「ねがいはひとつ」)の18禁版とかをPIXIVに掲載したのですが、閲覧数が3ケタというか、300前後というていたらくなんですよ。私のテキストの質が高くないというのもあるでしょうが、それにしたって普段は平均すると2000から3000くらいはいくのですが……。
となると、やはりテーマ(タグ)に対する関心の読者の低さが原因かな、と。
人外娘の中でも、とくにメイドロボやゴーレム・ホムンクルス系に萌える人間としては、「これも時代の流れか……」と微妙に寂しい気分です。

まぁ、それはともかく、『神撃のバハムート』より、オートマタ娘・オーキスさんのお話です。


必然と言う名の朱い糸


 ──ひとりの魔術師がいた。
 才気にあふれ、若くして天才と呼ばれた彼は、とくにゴーレムやオートマータの製作に優れた技量を発揮した。青年期の終わりには、彼の才能を買ったとある国に宮廷魔術師として迎えられ、国を支える一端を担いさえしたのだ。
 やがて初老の域に達した頃、彼は職を辞して辺境に居を構え、森の奥の小さな館で隠遁生活を送ることを選んだ。
 もっとも、隠棲してからの彼は、「ゴーレムマスター」と呼ばれる程のその得意分野に暇な時間のすべてを注ぎ込み、ついに一世一代の傑作──いや、"愛娘"とも呼ぶべき存在を作り上げる。
 「オーキス(白百合)」と名付けられた"彼女"は、一見したところ12歳くらいの端麗な少女のようにも見えた。
 もっとも、注意深い人間であれば、すぐに彼女の肌が生物らしくない硬質な質感を持ち、また、目立たないが肩などの関節部にうっすらと継ぎ目のようなものがあることに気付くだろう。
 少女型自動人形(オートマータメイデン)──あえて分類すれば、そんな言葉で表現できるだろうか。
 しかし、高度に発達した知性と自立した思考を持ち、のみならず人の感情(こころ)さえ理解しうる"少女"は、すでにオートマータやゴーレムなどという範疇から半ば逸脱した存在と言ってよいだろう。
 ある意味、古代錬金術師たちが生命の創造に挑んで造り出したホムンクルスたちと同様、「人造人間」という呼称が、彼女にも当てはまるのかもしれない。
 魔術師は、彼女をごく稀に「実験の対象」として扱うこともあったが、大半の時間、"ふたり"の間には、あたかも本物の父娘ないし師弟のような穏やかな関係が築かれていた。

 しかし──。
 魔術師がかつて仕えていた王の乱心が、このささやかな平和を壊すことになる。
 王は、魔術師が国防用にと作り上げた巨大ゴーレムたちの命令を書き換え、周辺諸国への侵略に乗り出したのだ。
 それを知った魔術師は自らの創造物が人々を不幸に陥れることをよしとせず──刺し違える覚悟で、最強とも言えるゴーレムを作り上げて王都に乗り込み、王とその配下のゴーレムたちに戦いを挑んだ。
 だが、多勢に無勢故か、あるいは王への憤怒故か、その戦いぶりには余裕がなく、王都の人々も巻き込むこととなり、人々は彼に恐怖を抱いた。
 幾人かが決死の覚悟で他国に救援を求めて旅立ち……結果から言うと、彼の魔術師は、大国から派遣された一団と、旅の途中、たまたまこの国に立ち寄ったひとりの騎士の手で討たれることとなる。
 もっとも、他国にとって脅威となるゴーレムもほぼすべてが破壊され、また暗愚な狂王もすでに王座から姿を消していたため、魔術師の一命を賭した試みは、結果的に叶えられてはいたのだが。

 ひとり館に残された"少女"──オーキスは、その身に宿った魔術師の血(製作時に"生"を呼び込む触媒とされたもの)の繋がりで、"父"の死を悟り、静かに涙する。
 そして涙が止まり、悲しみと、そこから立ち直るすべを知った少女は、旅に出た。
 "主"であり、"父"であり、"師"でもあった魔術師が、何を見て何を知り、何のために戦い、何を思いながら死んだのか。
 それらすべてを自らの"心"で理解するために。
 そして、自らの"生きる"意味を見出すために。

 オーキスには、創造主から受け継いだゴーレム作成の知識とそれを操作する技術があり、旅の途中、魔物あるいは夜盗の類いから身を守るため、時には自ら作り上げた戦闘用ゴーレム"ロイド"を操り、戦うこともあった。
 何事も経験かと、いわゆる冒険者や傭兵の真似ごとなども何度かしてみた。
 そうした中、とある戦場──グレイスポーンの軍勢から、城塞都市を守るための戦いで、彼女はひとりの自由騎士の青年と出会う。
 たまたまオーキスとコンビを組んで戦うことになったその騎士は、不思議な雰囲気の持ち主だった。
 若いのに何かひどく達観したような空気と、同時に少年のような純粋さを併せ持ち、しばらく接すれば明らかに人ではないとわかる彼女のことも、ただの人形ではなく、生命あるもの──それも守るべき淑女(レディ)であるかのように扱う。
 旅の途中で得た経験の蓄積で、人の感情の機微をそれなりに理解しつつあったとは言え、自らのソレについては未だ無自覚と言ってよいオーキスだったが、その騎士を見ていると、何とも言えない胸騒ぎのような感覚に襲われるのだ。

 そして、戦いが終わったのち、彼こそが、自らの"父"を討ち果たした名もなき騎士本人だと知った時、オーキスの心に湧き上がったのは、怒りでも悲しみでもなく……。

 * * * 

 「──騎士よ。私は運命を信じない。あれから長く旅をしてきたけれど……此処で貴方と出会ったことは、きっと必然でしょう」
 かの魔術師が葬られた小さな石造りの墓がある丘の上から、遠くを見つめながら、銀髪の少女は穏やかな声で囁くように言葉を紡ぐ。
 「彼の名誉にかけて感謝を。貴方が止めてくれなければ、もっと悲しい事になっていたかもしれない」
 少女はその手を"騎士"──俺に差し出し、俺もしっかりとその手を握る。
 「私のマスターを……私の大切な人(ちち)を止めてくれてありがとう」
 主であり父とも呼べる人の名誉を守った騎士への感謝を少女は告げる。一般には悪人とされたかの魔術師だが、その真意を、少なくとも少女と俺だけは理解していた。
 「マスターが生きたこの"世界"は広い、そして美しい。それを誰よりも知っていたあの人は、決して悲しみに心折れたりしていなかった。精一杯、運命に立ち向かったのだから」
 「そう、だね」
 少女が打ち明け話を始めて以来、初めて俺は口を開いた。
 「直接顔を合わせたのはほんの僅かな時間だが、俺にもあの人の目からは、狂気も絶望も感じられなかった。そう、思うよ」
 その言葉を聞いて、少女の朱い瞳に僅かにうれしそうな光が浮かんだ。
 「そう……ありがとう。
 ──私は私の生を生きる。生きる意味は、生きることそれ自体にあると思うから」
 凛とした声音でそう述べる彼女の姿は、決して人の手で造り出された意思無き人形(もの)ではなく、紛れもなく一個の生命(いのち)と呼ぶにふさわしいだろう。
 俺は、刹那の間それに見惚れた。

 「……陽が落ちたわ。すぐに寒くなる」
 私は寒くないけれど……と、微笑んだ少女のその表情の温かさに、不覚にも俺の鼓動が半拍跳ねる。
 「──さぁ、行きましょう」
 先程の感謝の握手とは異なる意味で差し出された手を──俺は一瞬の躊躇いもなく取り、その繊細な機構を壊さない範囲で強く握る。
 「ああ、行こう。一緒に、世界をぐるっと回りに」
 それは、俺達の関係が、単なる戦友(ウォーフェロー)から相棒(パートナー)へと変化した瞬間だった。

 * * * 

 ……などと言う、"ちょっといい話"風の展開の、わずか1ヵ月後のとある宿屋の一室。

 「あ~、色々聞きたいことはあるが、オーキス」
 「──はい」
 「なんで、俺、目が覚めたらベッドに縛りつけられてんの?」
 しかも下半身スッポンポンで。

 いかに気の置けない仲間(パートナー)相手とは言え、女の子(推定外見年齢12歳くらい?)の前でこういう姿をさらすのは、さすがに恥ずかしいんだけど。
 「解いてくれるとうれしいなぁ。そりゃ、オーキスの好奇心の強さについては一応理解してるつもりだけど……」
 「いいえ、単なる男性器に対する知識欲から、私の操糸(いと)で貴方の四肢の自由を奪ったわけではないわ」
 俺の推測を否定しつつも、オーキスの視線が俺のナニに釘付けのように感じられるのは、気のせいだろうか。

 共に肩を並べて戦ったあの戦場にいた頃から薄々気づいていたことだが、オーキス──この規格外の自動人形として生まれた少女は、パッと見はクールで事務的に見えるものの、その実、非常に素直で優しい感性と旺盛な知識欲を持ち合わせていた。
 初対面の人には無愛想かつ無表情に見える顔だって、慣れてくれば、下手に隠そうとしない分、むしろ感情は読みとりやすいほうだろう。
 今だって、彼女の一見澄ました顔には、少女らしい恥じらいと、隠しきれない好奇心、そして何やら決意めいた色が見て取れた。

 「えーと……ならばせめて、どういうつもりでこんな事をしたのか、教えてくれないか?」
 「もちろん。ハルト、貴方とともに旅するようになって28日、それ以前にあの戦場で出会った日から数えるとすでに45日が経過したけれど……その間、貴方は一度も、していないはず」
 「? 何を?」
 「自慰行為をです」
 じっ……!?
 「お、女の子が、そんなはしたない言葉、口にしちゃいけません!」
 「? マスターベーションと呼んだ方が適切だったかしら?」

 いや……だから、ね。
 「──冗談」
 ほんの少しだけオーキスの唇の両端がつり上がり、からかうような微笑を浮かべていることがわかった。
 まったく、初めて会った時の生真面目なクールビューティさんは、どこに行っちまったんだか。いつの間にやら純真な男心をカル~く弄ぶようになっちゃって。
 ちっちゃくても(そして人ではなくとも)"女"、ってことなのかな……でも、本人は気付いてないみたいだけど、ほんのり赤くなったほっぺたが可愛いので許す!

 「ハルト、以前もお話したように、私はマスターからさまざまな知識を受け継いだわ。その中には、人体に関する医学的な知識も含まれている」
 うん、それは知ってる。自由騎士と言いつつ、実態は傭兵じみた仕事をしてる身としては、医者代わりが身近にいてくれるのはスゴく助かってるし。
 「そう言ってもらえると、うれしい。でも、その所見の中に、年若い人間の男性は、肉体の構造上、数日から十日程度の周期で、しゃ……コホン」
 軽く咳払いをして言葉を続けるオーキス。
 「──射精しないと、精神的ストレスその他から、体調不良になるという知識が存在するわ」
 え、えーと……確かに間違ってはいないけど、微妙になんか違う気が。

 それは、俺だって、こう見えてまだ20代半ばの、れっきとした男だからね。時にはモヤモヤしたりムラムラしたりすることくらいありますよ? 
 でも、いくら人間ではないとは言っても、外見年齢11、2歳くらいのうら若い乙女と同じ部屋で寝泊まりしてるのに、ベッドでこっそりマスをかくなんて真似をするのは、どうかと思うし。
 て言うか、そもそもこの子の場合、横になって目を閉じてても、本当の意味で「寝てる」かどうかもアヤしい。本人は「夜間待機時は身体機能を最小限まで落として、エーテルリアクターのメンテナンスモードに移行している」とかなんとか言ってたけど。

 まぁ、もうちょっと大きな町まで行けば、「然るべき場所」もあるから、そこで発散すれば済むことだ。元々、割かしソッチ方面には淡白な方だから、それまで我慢できないわけではないし……。
 「──我慢? やはり、ツラいのを堪えているのね、ハルト」
 途端に、目の前の少女の瞳に、心配そうな翳りが揺れる。
 嗚呼、僅かひと月足らずで、本当にこの娘も感情表現豊かになったものだ。
 かつての超然とした神秘的なたたずまいも決して悪くはなかったが、俺としては、旅の相棒であり、妹のように可愛がっているこの少女が、喜怒哀楽を解し、それを素直に顔に出すようになってくれた方が、やはり嬉しい。

 ……と、ちょっとした感動に浸っていた俺を尻目に、オーキスは俺の下半身の急所というか「男の大事な部位」に手を伸ばしてきた。慌てて縛られたまま動ける範囲で身をよじる。
 「た、タンマ! ちょっと待てって。まさかと思うがオーキス、お前さん、俺のソコを、その……手で刺激して、出させようとしてるのか?」
 いや、そりゃ、いかんでしょう!? 妹分とも目しているいたいけな少女に、そーいうコトをやらせるってのは、社会的倫理的にも、こう……。
 「問題ないわ。私は、外見こそ、人間の女性で言えば12歳程度に相当する体型ではあるけれど、マスターの手でこの世に生みだされて自我を持って以来、すでに17年と5ヵ月の時間が経過している。
 この地方の一般的な女性の婚姻可能年齢は16歳であったと記憶しているのだけれど」
 「あ、いや、それは……」
 オーキスの言葉を聞いて、一瞬だけ俺の脳裏に"合法●リ"という言葉が過ったのは内緒だ。

 「私は──貴方のパートナー。貴方もそれを認めてくれた。片方が苦境に陥っている場合、他方ができる限りの助けの手を差し伸べる。それがパトーナーというもののあり方ではないかしら」
 ぐ……理詰めで来られては反論しづらい。
 「──私のような人ならざる者に、疑似的な性行為をされるのは、あまり気持ちのよいものではないかもしれないけれど、それなら目をつぶって……」
 「違う!」
 微かに自嘲するようなオーキスの言葉に、気付けば俺は大声で反論していた。
 「──え?」
 突然の大声に気勢をそがれたのか、人形遣いの少女の動きが止まる。

 「……ったく。人がせっかく"いい兄貴分"として"妹"の成長を見守ろうと苦心してたっていうのに……」
 軽く溜め息をついた俺は、全身の筋肉に力を込めて、自らの動きを拘束していた"糸"をブチブチと千切る。
 「! まさか……この糸は、私がロイドの戦闘操作に使用している銀糸の予備よ?」
 あ~、道理で丈夫だと思った。
 実際、ちょっとばかり皮膚が切れて血が滲んでる感触もあるんだが、今はそれを無視して、俺は目の前の銀髪の少女の身体をしっかりと逃がさぬように抱きしめた。

 「オーキス……お前にシてもらえってるのに、気持ち悪いなんて思うワケないだろ」
 「──え?」
 彼女の茫然とした表情を見るのは初めてだけど……うん、悪くない。可愛いじゃないか。
 まさに"きょとんとした"と言う表現がぴったりの彼女の、華奢な顎に指をかけて上を向かせて、その可憐な唇を奪う。
 「!!」
 目を見開いているが……嫌がってる素振りはないな、よし。
 そのまま目を閉じた彼女の柔らかい唇を、己の唇で味わう。
 血の気のない(あたりまえだが)その唇は、しかし、それが人の手による造りものだと思えないくらい、柔らかく、心地よかった。

 思い切って舌を伸ばし、彼女の口の中に差し入れる。
 どこでそんな知識を得たのか、彼女の舌がおずおずと俺にソレに応え、触れ合い、絡み合う。
 舌を絡めた時、しっとりした感触と同時に、口腔内に液体が流れ込むのを感じた。俺の唾と混ざり合いつつ、匂いも味もソレとは異なる透明な液体。
 (そう言えば、目に見える部分は極限まで人間に近い構造になっていると言ってたっけか)
 確かに、彼女の少女らしい澄んだ声色は(年若い外見に似合わぬ落ち着いたトーンとは言え)人の声となん変わりなく聞こえる。それはつまり、「人と同様の発声器官」から発せられているからに違いないだろう。
 無色の液体──彼女の"唾液"は微かながら甘いような気もするが、よくわからない。わからないが……イヤな味じゃないな、うん。

 多少息苦しくなってきたので、いったん唇を離す。
 「──ハルト。貴方はてっきり、私に対して、その……」
 1月半あまりの付き合いだが、彼女が言い淀むというのは非常に珍しいことだ。
 とくに、その整った顔を薄紅色に上気させた(彼女を作った魔術師は、本当に天才だったのだろう!)──いわゆる「含羞に頬を染めながら」というのは、初めて見るかもしれない。

 (なるほど、コレが「萌える」という感覚か……)
 以前旅の途上で会ったぐーたら妖精(♀)が言っていた、言葉の意味を、俺は頭でなく心で理解した。
 つまり……メチャクチャ可愛い! もぅ、抱きしめて、放したくないほどに愛しいっ!
 俺は、目線で「続けていいか?」と問い、彼女もしっかりその意味を読みとって、微かに頷いてくれた。

 そのまま彼女の夜着──シンプルな白い木綿のワンピースの胸元のボタンを外す。
 女性と身体を重ねた経験は多少あるが、そのほとんどが、いわゆるソレを生業にしている者だったので(そして、それ以外の数少ない経験も相手が年上でリードされてたので)、女の子の服を脱がせるというのは、何気に初めての行為だ。
 幸い、シンプルな構造だったため、それほど戸惑うことなく、彼女を裸にすることができた。

 「──不思議な感覚だわ。"恥ずかしい"って、こういう感情のことを言うのかしら」
 言葉だけは冷静さを保ってはいるものの、先程以上に頬を染め、視線も落ち着きなく彷徨っているあたり、誰がどう見ても「照れてる」とわかるだろう。
 「綺麗だよ、オーキス」
 「お世辞とわかっていても、うれしいものね」
 「お世辞なもんか。君はとても綺麗だ」
 「──本気でそう言ってもらえるならうれしいわ。父(マスター)が作ってくれた大切な身体(ボディ)だから」
 無論、かの魔術師の造形の技巧が優れているというのもあるだろう。しかし、それ以上にその中に宿る彼女の魂(こころ)が、より美しさを引き立てている……というのは、惚れた欲目というヤツかな。

 そのまま、思春期に入ったばかりの少女の如き、あえかな膨らみを描く胸の曲線に掌を滑らせる。
 人の肌より硬く、陶器よりは弾力がある、不思議な素材のそこは、けれど決して悪い手触りではなく。何より……。
 「……ッ! な、何を?」
 こんな風に、愛しい少女を感じさせてやれるのだから、十分だ。
 「ん? お前の"医学的知識"とやらにもあるんじゃないか? 愛し合う男女は、こんな風に男が女の身体に触れて気持ちよくさせてやるモンなんだよ」
 「愛……ハルト、貴方は私を愛してくれているの?」
 ありゃ、言ってなかったか。
 「そうだな。戦場で背中を預ける相棒として、旅の道連れとして、守ってあげたい妹分として、そしてなにより大切な女性として──愛してるよ、オーキス」
 耳元で、その言葉を囁いたときの彼女の表情の一連の変化は劇的だった。
 驚愕、歓喜、困惑……そして、哀愁、ってところか。

 「──ハルト、私は……わからない」
 蚊の鳴くようなか細い声で呟くオーキス。
 「貴方に対して好意は抱いている。今となっては、亡き父(マスター)に並ぶくらい、貴方は私にとって大切な存在。でも……この感情は"愛"と呼ばれるものなの?
 私は──貴方を愛してもよいのかしら? 愛する資格は……」
 自信なさげな彼女の顔を上げさせ、俺は精一杯の想いを込めてその額に口づけた。
 「決まってるだろ。愛に資格なんて必要ない。そして、俺のことを何より大事に思ってくれてるなら、今はそれで十分だ。
 続けていいか、オーキス?」
 「ええ、お願い──私を"愛して"」

 一糸まとわぬ稚い彼女の身体の隅々まで、掌と舌を這わせる。
 その度に、少しずつ乱れ、上気し、喘ぐ彼女の様子がこのうえなく愛しい。
 「ま、待って……ハルト」
 息も絶え絶え(彼女に呼吸は必要ないはずなのに、こういう状態になると「息が乱れる」のだ)になりながら、オーキスが俺の愛撫にストップをかける。
 「男女の睦み合いでは、女性も男性を気持ちよくさせてあげるものでしょう?」
 まぁ、それはそうなんだが。
 「知識だけだけど、私にもできることはあるから」
 そういうと、オーキスは、最初に目覚めた時のように、俺の股間に顔を近づけてきた。

 ……
 …………
 ………………

 「吐き出してもいいんだぞ、オーキス」
 けれど、彼女はそのままその液体を嚥下することを選んだ。
 「──いいの。私は、人の女性のような形で貴方を受け入れて、満足させてあげることはできないから。せめて、繋がった証を頂戴」
 ああ、なんてけなげな事を云うのだ、この娘は!
 「馬鹿、身体の交わりだけが恋人の繋がりじゃないだろ。それに、その……すごく気持ちよかったから、俺は十分満足だよ」
 そう言って、俺はベッドに横になると、左腕を横に広げて、彼女にもそこに横たわるよう促す。
 「これが……いわゆる"腕枕"というものなのかしら?」
 「まぁな。男は恋人ができたら一度はベッドでしてみたいコトのTOP10に入る行動のひとつだろうぜ」
 適当なことを言って、俺は目を閉じた。
 「残りの9つは、何?」
 「あ~、まぁ、ソイツはおいおい……」
 久しぶりに思い切り"出した"反動か、急激な眠気に襲われる。
 「──そう。では、おやすみなさい、貴方。いい夢を……」
 今まで聞いた中でも一番優しい彼女の声を子守唄代わりに、俺は夢の世界へと落ちていった。

-FIN-


オマケ
 「ハルト、今度はこちらでしてあげるわ」 ぷるる~ん
 「な、オーキス、その胸は?」
 「言ったでしょう? 私の中にはマスターから受け継いだゴーレム作成の知識もすべてあるのよ。その知識を応用して、胸部外装を改造してみたの。どう?」
 「(うーん、パッと見、BからCってトコロか)そりゃまぁ、男としては揉み応えがあるのは嬉しいが……お前、以前、「父(マスター)にもらった大事な身体」とか言ってなかったか?」
 「──娘の幸せのためだもの、父さんもわかってくれるわ」←遠い目
 そして、何だかんだ言って、その夜、騎士はにわかロリ豊乳になった恋人にモミモミ・スリスリ・パプパフしてもらい、大いに燃え&萌えたとか……とっぺんぱらりのぷぅ。
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