『MHミカミ極楽大作戦!?』01

 プライベートでは、じつは他デスクトップとノート合わせて、3台のマシンを使い分けてるのですが(まぁ、メインマシンは1台ですけど)、セカンドマシンの片隅に埋もれていた、かなり昔(今投下先覗いてみたら2007年でした)に書いた二次創作物を発見したので、こちらに掲載。『モンハンP2』+『GS美神』という誰得な組み合わせですが……でも、明日、明後日も、2~4話を掲載する!


『MHミカミ極楽大作戦!?』01


 眠らない町と称される大都会トンケイ。
 その言われのとおり、深夜になっても、繁華街では酒場を始めとする多くの店が営業している。
 とはいえ、そういった目抜き通りから一歩離れれば、さすがに人通りは少ない。
とくに夜明け前ともなれば、辺りには都会とは思えぬほどの静寂に満たされる。

 「ご~……スカーーッ……ピーーーーッ……zzzzzzzz」
 酒場の裏手にある細い小路に面したオンボロ集合住宅(アパート)。その一角ではいまもひとりの少年がベッドで惰眠を貪っていた。

 畳に換算して四畳半あるかないかの狭い部屋の、およそ3分の1以上を占めるベッドに、大の字……と言うにはいささか行儀の悪い格好で眠っている少年。
 部屋の広さや調度の質素さから見て、あまり裕福ではない。どちらかと言えば、赤貧に近い暮らしを送っているようだ。よく見れば寝顔にも疲労の色がうかがえる。若い身空でけっこう苦労しているのかもしれない。
 そんな貧乏少年にとって、睡眠時は数少ない安息の時なのだろう。

 しかし──。

 「くぉらぁーーっ!! おきんかぁーーーぃ!!」
 蹴破るようにして開けられた(幸か不幸か鍵がかかってなかった)ドアから飛び込んで来た人物は、就寝中の少年に毒針のように鋭いヒールキックをかます。

 「ゲファッ! い、いったい何が……」
 たまらず飛び起きる少年。
 「何が、じゃないわよ! 次の仕事は夜明け前集合だって言ってあったでしょうが!!」
 ドアの方から逆光になっているので闖入者の表情などは見えないが、その口ぶりと肩を怒らせた態度から、激怒しているのは間違いない。
 シルエットを見る限り、怒鳴り込んで来たのは若い女性のようだ。
 身体にピッタリと密着した白い衣裳を着ており、かなりプロポーションがよいことが伺える。

 「……あ、美神さん、おはよっス」
 ようやく目が覚めたのか、知り合いらしき女性に挨拶する少年。
 「おはよう、じゃないでしょう! 横島くん、仕事の時間だから、ちゃっちゃっと支度すませて街の入り口のところまで来なさい!!」
 用件だけ言うと、身を翻す女性──美神。

 「あぁっ、そんな殺生な。美神さん、せめてお目覚めの熱いベーゼを……」
 と、いつの間に寝台を抜けだしたのか、少年──横島タダオがゴキブリのような俊敏な
動きで美神の前に回り込んでいた。そのまま片膝をつき、「ジュテ~ム」と言わん
ばかりの恥ずかしい求愛のポーズをとる。

 が。

 ──ドワグシャッ!!

 慣れているのか驚く様子も見せずに美神の回し膝蹴りが横島の左のこめかみに突き刺さった。

 「!……ったぁ~」
 「バカやってないでさっさと準備しなさい。15分で入り口まで来なけりゃ置いてくからね。歩いて目的地まで来ることになるわよ」
 「……ウィーッス」
 いい感じに危険な角度に曲がった首をなんとか直しながら、横島は渋々返事をした。

 台風のごとき美神の襲撃が去ったのち。
 「ご主人様、こんな朝早くにお出かけですか?」
 厨房兼食堂に使っている部屋から、小柄な人影が姿を見せた。

 人影……いや、厳密には”猫影”と言うべきか。
 直立した猫を一回り大きくしたような姿の獣人、アイルーだ。
 アイルー族は草原や温帯で部族単位で暮らしていることが多いが、街や村に出て人間族と共存している者も少なくない。力はないが手先が器用なので、小間使いやコックのような職業についていることが多く、このアイルーも横島が料理人として雇っているのだ。
 もっともそこは万年金欠少年のこと、雇ったと言うより住処を提供する代わりに料理や掃除をしてもらっているというほうが正しいかもしれない。

 「あぁ、美衣さん、起こしちまった? ちょっと仕事が入ってるんで、これから出かけてくるわ」
 「お気をつけてくださいね。あの……昨日の残り物で悪いのですが、これ、くず肉の薫製です。行き道にでも食べてください」
 それでも、彼のところに来た雌アイルーの美衣は気立ても料理の腕前もよく、横島としては大助かりだった。

 (何せ、ハンター始める前は、食うや食わずで、下手したらそのヘンの雑草を炒めてかじるくらいしかなかったからなぁ……)
「うぅ~、いつもすまないねぇ」
「それは言わない約束ですよ。ハイ」

 小さな包みを受け取りながら、手早く身仕度をすませる。
 といっても、いつもの服の上から革製の軽防具をつけ、使い込まれた簡素な小剣と小さな楯を持つだけなのだが。 

 交易商の両親が、拠点を辺境のポッケ村に移すと言った時、横島タダオは反対し、自分だけでも街に残ることを主張した。

 (オレは都会でしか生きられん男なんじゃーーッ!)
 その主張自体は聞き入れられたものの、それなら自活してみろと仕送りもなしに放り出されたのが半年前のこと。
 酒場の下働きや臨時の日雇い労働などで食い繋いでいたものの、それも行き詰まり、どうしようかと途方に暮れていたところで、偶然今の職場を見つけたのだ。

 「よっしゃ、行くか!」
 その仕事とは──狩人(モンスターハンター)である。

  *  *  *

 街の入り口、次の狩場(しごとば)へ向かう馬車が待っている停留所には、すでに職場の仲間は勢揃いしていた。

 「あ、横島さぁーん、こっちこっち!」
 ブンブンと手を振ってくれるのは、氷室キヌ。横島と同じく、彼らの雇い主である美神レイコの助手(アシスタント)として働く少女である。
 ほっそりと華奢な体つきで、青いエプロンドレスのような服を身にまとっているが、いざ戦いとなれば"狩猟笛"と呼ばれる楽器を吹いて、体力回復や活力アップなど、さまざまな支援効果を仲間にもたらしてくれる、ありがたい存在である。

 彼女の笛の効果自体は、横島自身、身をもってよく理解している。ただ、その笛が下手すればキヌの身長よりも大きい(しかもそれなりに重量もある)という現実には、いまだになじめない。
 もっとも彼女に言わせれば、コツさえつかめば意外に取り回しは楽らしいが……。

 「1分の遅刻よ、横島くん」
 そして、いかにも不機嫌そうな顔で彼をにらみつけているのが、美神レイコ。
ハンターのあいだでも凄腕と名高い美神狩猟事務所のオーナーであり、現場のリーダーでもある。

 ハンターは、単独でも協会(ギルド)からの依頼を請け負うことはできるが、ごく簡単な依頼を除いて多くの場合、2~4人のチームを組んで仕事を行う。
 人数が増えても協会からの各人への報酬はさして変わらないし、そのほうが格段に安全に依頼を達成できるからだ。

 そのため、ごく一部の例外を除いて、名前の通ったハンターともなれば大概はハンター事務所を構えている。協会とのやりとりを事務所として受けて、そのまま事務所に所属するメンツでチームを組んで仕事──狩りに出かけるのだ。

 もっとも、横島自身はさしてハンターになりたいと思っていたわけではない。
 なにせ、素手の一撃で桃猿(コンガ)を撃沈する母親と、剥ぎ取りにしか使えないようなちっちゃなナイフ一丁で十数頭の青鳥竜(ランポス)を軽くあしらう父親を身近に目にしてきたのだ。あんたらは本当に交易商人なのか、と問い詰めたい──恐いからやらないけど。
 それはともかく、そういう人類の規格外な両親を見て育った反動か、彼の夢は「トンキン一大きな酒場を貸し切りにして、黄金芋酒を浴びるように飲みながら、100人の美女&美少女と王様ゲームをしたい」というごくささやか(?)なものだった。

 とは言え、前述のような事情から早急に働く必要性ができ、簡単で安全で楽できる仕事を捜していたところ、偶然、事務所のメンバーを募集している美神と出会い、彼を知る大方の人間の予想通りの行動をとった。

 即ち──
「生まれる前から愛してましたッッッ!!」
「何すんのよっ、この変態ッ!」

 ──グワボシャッ!!!

 ……いきなり飛び掛かって、鉄拳制裁をくらったワケだ。

 それでも、やはり荷物持ち兼盾となる助手(げぼく)は欲しかったらしく、相当無茶な条件のもと、美神は渋々横島を雇うことになる。

 なお、その条件とは以下のようなもの。
「仕事中の収集物と剥ぎ取り素材はそのまま美神へ納品、
 仕事の契約金は美神が払う代わりにその倍返し金も美神がピンハネ、
 横島への取り分は純粋に協会からの報酬金のみ」。

 ハッキリ言って、こんなアホな条件を飲む人間は、たとえ駆け出しの半人前ハンターにだっていない。仕事内容にもよるが、ふつう収集物と剥ぎ取り素材を売っただけで、報酬金の数倍の金が手に入るのだから。もっとも、”きれいなねーちゃんのいる職場”に目がくらんだ横島はあっさり承知してしまう。
 後日、先輩ハンターらから詳しい話を聞いて、「サギやーーっ!」と叫んだものの後の祭。まぁ、美神さんのちち、しり、ふとももを間近で見るため、と割り切って仕事は続けているようだ。

 ちなみに、横島の1ヵ月後に事務所に入ったキヌの方はごく真っ当な条件で働いている。契約金の倍返し金だけはハンター教育へのお礼として半ば自主的に美神に渡しているものの、素材などについてはキヌの方はちゃんと受け取っている。

 もっとも最近では、さすがに美神も悪いと思ったのか、仕事がないときに横島が素材ツアーをひとりで請け負うことについては、黙認してくれている。
 この素材ツアーとは、おもに駆け出しから半人前くらいのハンターが、強力なモンスターが出現しない時期を見計らって、狩り場でしか採れない鉱石を掘ったり、薬草や菌類を採集したりするための作業のことだ。
 一応、協会からの依頼という形を取るので、報酬も出るがそれは雀の涙ほど。ハンター稼業に欠かせない消耗品の材料を集めるため、という要素が強い。また、ザコモンスターはそれなりに存在するので、そいつらを倒せば武器防具の素材も多少は手に入る。

 とは言え、横島は天下御免の怠け者かつヘタレなので、ハンターから見ればガキのお使いに等しい素材ツアーにさえ、実は数えるほどしか行ったことはないのだが……。

「しょーがないやんか! いくらザコばっかりとは言え、あいつらにかて噛まれたら痛いんやで! 俺はしょせん美神さんの助手(でっち)なんや!!」
 どこからか飛んで来た電波に大声で反論する横島。すると……。

「何ワケのわからんこと言うとるかァ!」

 ──グワシャアーーーッ!

 当然、このように美神の折檻を受けるハメになるわけだ。
 ちなみに、ここは目的の狩り場、森丘へ向かう途上の馬車の中である。

 「ぅはがぁ~! 脳が割れるように痛いィ!」

 ──ゴロゴロゴロ……。

 「あたりまえでしょ。痛くなるようドツいたんだから。狭いんだから暴れないでよね」
 「よ、横島さん、大丈夫ですか?」
 「うぅっ、おキヌちゃんはエエ娘やなぁ」
 などといつものドツキ漫才をしているうちに、目的地に着く。

 「じゃ、横島くんは、これお願いね」
 「うぃーっス」
 美神に渡された特大のリュックを背負う横島。
 ふつうハンターは、身軽に動けないことを嫌って、荷物は腰に下げたポーチ類とポケットに入るぶんしか持たないのだが、美神狩猟事務所のスタイルは少々異なる。

 ハンターとして並ならぬ高い実力持つ美神だが、彼女の本領は数々のアイテムを自由自在に使いこなすところにある。
 煙玉で身を隠し、閃光玉で空から飛竜を叩き落とし、シビレ罠におびき寄せ、タル爆弾で大ダメージを与え、各種投げナイフの乱れ撃ちで敵に状態異常を起こさせる。

 とはいえ、通常だと持てるアイテムの数には限りがある。そこで、美神はそういった消耗品類を3人分詰め込める特大リュックを用意し、助手である横島に背負わせているのだ。
 本来なら、横島の動きは灰水晶の原石を抱えて運搬中のごとく鈍るはずだが、防具に備わった「運搬の達人」の特技(スキル)が発動しているおかげで、かろうじて人並み程度には留まっている。
 おかげで美神はアイテム切れを気にすることなく、自分の得意なスタイルで飛竜と戦うことができるのだ。

 さらに前述のようなキヌの狩猟笛による支援効果が加わることで、美神狩猟事務所はほぼ100パーセントに等しい依頼達成率を誇っていた。

 ……もっとも、お約束のように逃げ遅れたり、盾にされたり、爆発に巻き込まれたりする横島は、毎回ボロボロで3落ち寸前という体たらくだったが。

「ところで、今回の依頼の目標は何なんスか?」
「なんでも、火の竜だそうですよ、横島さん」
「え~っ、火竜かぁ……」
 単純に火を吐くだけなら、大怪鳥(イャンクック)から古龍まで多種多彩に存在するが、火竜と称されるモンスターは大別すると2種類だ。

 「空の王者」と恐れられる雄火竜(リオレウス)。
 あるいは「陸の女王」と畏れられる雌火竜(リオレイア)。
 いずれも堅い外皮と15メートルを優に越える巨体を持つ、中堅のハンターにとっても侮り難い強敵だ。

 どちらにもこんがりローストされたり、毒針を食らったりして散々な目にあった記憶のある横島にとっては、あまり積極的に関わりたい相手ではない。

「で、どっちなんですか、美神さん。リオレウス?」
 空中から炎を吹き掛けてくる厄介な雄火竜だが、横島としては下手に相手をせず逃げ回ることに専念できるぶん、まだ気が楽だ。

「NONONO……」
 どこかで見たようなポーズでチッチッチと否定の意を表す美神を見て、イヤ~な
予感がする横島。
「じゃあ……リオレイア?」
「NONONO……」
「もしかして……両方ですか?」
「YESYESYES……」

 …………。

「──イヤやぁーーー! おうちに帰るぅぅぅ!!」
「アホかぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 一目散に逃げ出……そうとした横島の襟首を引っつかんで、美神はガタガタ揺らす。

「ここまで来て、何言ってるのよ、アンタは!」
「いや、でも、無理ですって! このあいだは1頭でもあれだけ苦戦したんですよ!?」
「大丈夫よ! 今回、おキヌちゃんには回復と防御に特化した笛を装備してもらってるし、罠と爆弾もしこたま持って来たんだから」

 まあ、どれだけヘタレようと、万年丁稚が女王様に敵わないのはこの世の摂理というヤツで……。
 哀れ横島は、ズルズルとベースキャンプから引きずられていくのだった。

  *  *  *

「ハァーー……」
「何よ、往生際が悪いわねぇ」
「横島さん、私も頑張りますから……」
 女性陣ふたりの叱咤激励によって、横島もようやく普段なみの落ち着きを取り戻し、気合いを入れ直す──ま、普段がアレなのでたいしたことはないが。

「やかましいわいッ!」
 またも地の文に返事してしまい、美神にギロリとニラまれて縮こまる。

「いい? 作戦とフォーメーションはいつものどおり。わたしが中距離を保ちつつ、攻撃を仕掛けるから、横島くんは追走してフォロー。おキヌちゃんは、できるだけ離れた位置に陣取って演奏して。音色は「回復速度小」と「精霊王の加護」を交互に。わたしたちがダメージ受けたら、「回復中」を適度に織り交ぜて」

 破天荒な点の多い、美神狩猟事務所のメンバーだが、中でも所長の美神の戦闘スタイルは、常識離れしていた。

 通常、ハンターは接近戦に特化した剣士系と、飛び道具を使うガンナー系に大別される。ベテランの中には、どちらも相応にこなせる者もいるが、装備する防具の関係で、いずれかの技量を磨くのがふつうだ。

 その点から言えば、美神は剣士、それも小回りの利く小剣使いとして優れた技量を持っている。
 小剣使い自体、利き手に剣、もう片方に盾を持つ 片手剣使い(横島もそのひとりだ)と、両手に小剣を持って鬼神の如く斬り付ける 双剣士 に分類されるが、アイテムを頻繁に使う美神は、片手剣使いのスタイルを選択していた。
 ただし。
 本来なら防御に備えて盾を構えるべき左手に、飛び道具であるライトボウガンを持つという変則スタイルをとっているのだ。
 距離を保ちつつボウガンでダメージを与え、隙を見ては接近して斬り付ける。高度な技量は必要だが、たしかに非常に万能で隙のない戦法ではあった。

 無論、そのぶん防御面は少なからず犠牲になっている。当然ながらモンスターの攻撃をガードすることはできないし、防具はより防御力の劣るガンナー用のものを装備せざるを得ない。
 もっとも、的確にモンスターの動きを先読みし、華麗な体さばきで回避する美神は、大きなダメージを負うことは滅多になかったが。

「幸い、まだリオレイアのほうは巣穴から動いてないみだいだし、とりあえずリオレウスの方を集中して先に沈めるわよ!」
「わかりました!」
「了解っス」
 火竜の巣穴近くの茂みに陣取った3人は、簡単な打ち合わせののち、空を舞う雄火竜の元へと走り出す。

 赤褐色の鱗と翼と化した前足、棘のついた長い尻尾と言う、昔語りのワイバーンにも似た姿のリオレウスがこちらに気づいた瞬間、素早く美神は閃光玉を投げつける。

 『Angyaaaaaaaa!!!!!!』

 瞬間、辺り一面に白い光が広がり、視界を奪われた飛竜は翼をバタつかせながら墜落した。

「今よっ! 横島くんも!!」
 言いながら、美神はすぐさま走り寄り、愛用のハイフロストエッジを赤い竜に突きたてる。

「よーし、俺も。蝶のように舞い……」
 美神に追随して剣を抜き、走り出した横島だったが。

 『Garurrrrrr!!!』

「……ゴキブリのように逃げる!」
 リオレウスが意識を取り戻したのを見て、呆気なく戦意喪失、そのまま安全圏まで走り去る。

「こらァーーーー参加しろ!」

 『Gwa……ru?』

 美神の怒鳴り声と、戸惑うような火竜の唸り声。

「……と、見せかけて、蜂のように刺すッ」
 その一瞬の隙を突いて、回り込んだ横島は、火竜の尻尾に鋭い一撃を見舞う!
「──で、またゴキブリのように逃げるっ」

 そのまま全速力で尻尾による攻撃範囲から離脱する。
 途中経過はいささかカッコよくないが、素早い動きと手数が身上の片手剣使いとしては、あながち間違った戦い方でもない。

 その後、横島の卑怯戦法にペースを乱されたのか、巧みな美神の戦略もあって、リオレウスはエリア移動して逃げる間もなく倒れた。

「ふぅ、まずは1頭ね。どうしたの、横島くん?」
「あ、いや、前回はあれほど苦戦したのに、今回はわりと楽勝だったんで……」
「まぁ、前の依頼では、横島くんとおキヌちゃんはコイツと初見だったからね。初めて見るモンスターと対峙したときは、精神的に緊張してるし、動きもまだわからないから、自然とダメージを受けやすいのよ」

 言われて見れば、今回は相手の動きが割合予測しやすかったようにも思う。
 キヌの笛やアイテムによるフォローも、なかなか的確なタイミングで発動されていた気がするし……。

「フッ、俺もこれで立派なドラゴンスレイヤーってヤツか」
 雄火竜の死骸に片足を乗せ、右手の剣を天に掲げて横島は気取ったポーズをとる。
「わ~、カッコいいです、横島さん」
「ちょーしに乗ってんじゃないの。一人前を名乗りたければ、ひとりでリオレウス
狩れるようになってからにしなさい」

「うぅっ。ちょっとくらい夢見せてくれたってエエやんか」
 地面に両手を突いて黄昏る横島。
「「横島くん(さん)、後ろ後ろ!」」
「ん? 何や? 今時ドリフは流行らんで?」

 慌てたような女性陣の声に背後を振返ると。

 『GYRaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!』

 つがいの夫を殺されて、激怒する雌火竜リオレイアの顔があった。

「の……のっぺぴょーーーーーん!」
 切羽詰まった横島は人間とも思えぬ奇声を発する。
 その声でリオレイアが一瞬怯んだ隙に、四つんばいのままガサガサとゴキブリまがいのスピードで逃げ出す横島だったが、今回ばかりはさすがに逃げ切れない。
 立ち上がる前に雌火竜のファイアーブレスをまともにくらってしまう。

「横島さん!」
「マズいわね。おキヌちゃん、回復薬グレート使って!」

 その後の対処がよかったのか、炎の中からは全身ススだらけになった少年がヨロヨロと這い出してくる。勿論、髪型はアフロだ。

「こ、こんなんばっかしかい……」
 横島少年が一人前のハンターになるまでは、まだまだかかるようだ。


[わりと適当なモンハン的データ]
●横島タダオ
武器:アサシンカリンガ(予備として、ねこぱんちとさびた小剣を所持)
防具:レザーライトシリーズ(ただし胴鎧だけは美神がレザーライトSを貸与)
装飾品:なし
<発動スキル>運搬の達人、採取+2

●美神レイコ
武器:右)雷神剣キリン、ハイフロストエッジ、クイーンレイピアなど
   左)ジェイドテンペスト
防具:キリンシリーズガンナー装備
装飾品:持続珠、千里珠4
<発動スキル>属性攻撃強化、全耐性+5、自動マーキング

●氷室キヌ *装備はいずれも美神から貸与
武器:クイーンビードロもしくはストライプゴング、ブラッドホルン
防具:ヒーラーシリーズ
装飾品:鼓笛珠5
<発動スキル>精霊の加護、広域化+1、笛吹き名人

・美衣(アイルー?:赤毛/♀/レベル2)
 魚**/肉*
 ネコの逃走術、ネコの体術(小)、ネコの弱いの来い!
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KCA(嵐山之鬼子)

Author:KCA(嵐山之鬼子)
Pixiv、なろう、カクヨムなど色々書いてます。感想などもらえると大変うれしいです。
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