『究極超人るいず』(後編)

 最近は、『ドラゴンズドグマ』で、男の娘っぽい自キャラに筋肉ムキムキのごっつい女戦士のポーンのカップル作って冒険させたり、『P4G』でできるだけ鬼畜な選択肢を選びつつ進めたり、『アキバズトリップ+』でネタ技をいかにカッコくよく当てるか試行錯誤してます。
 が。先週末ついに『世界樹の迷宮4』のデータ引き継ぎ体験版が公開されたので、しばらくはそっちに夢中かも。
 ソーシャルの方は、「武装神姫」が終わり、ほかにも「ソード×ソード」を切り、「アイドルレボリューション」と「乙女転生」、「女神フロンティア」にも見切りをつけつつあるのですが……なんで、また新たにふたつ始めちゃうかなぁ。「星姫フロンティア」は、まぁある意味「女神」の焼き直しに近いので手軽でいいとして、「神装ヴァルキリー」は「武装神姫」同様のキャラ+武器・防具装備型、しかもRPGライクに職業ごとに装備可能武具が決まっていて、カードも4段進化あり……と果てしなく手間のかかる仕様なのに!
 でも、そういう手間暇かかるものほど、ゲームっぽくてつい力注いじゃうんだよなぁ。
 とりあえず、本日で「超人るいず」は打ち止め。そろそろ「よわよわ」の続きでも書いてみますか。


究極超人るいず』(第一期・後編)

【第5話.ウケるが勝ち!の巻(前編) 】

 シャルロット・エレーヌ・オルレアンという本名を持つ少女――タバサは思う。
 トリステイン魔法学院は昨年まで、いや春先までとはまるで別物だ。

 ……だが、それにまるで違和感を感じない自分もまた、変わったのだろうか。 

 *  *  *

 「「「先生! コルベールせんせー!!」」」
 学院の職員棟にある、一室の扉を叩く虚無部の面々。
 すぐに中から白衣を来た禿頭の中年男性、コルベールが姿を見せる。

 「おやおや、これはこれは。皆さん、最近、よく来ますね。遊びに来てもらえるのはうれ しいですが、勉強や部活はよろしいんですか?」
 のほほんとした口ぶりに、一同は脱力する。

 「いや、いい加減、あ~る君を直してもらいたいんですが……」
 脱力感をこらえてワルド(当然のような顔をしてここにいる。仕事はどうした?)が、先日首がモゲて動かなくなった部員のことをコルベールに問う。

 「え……あぁ、そうですね、ミスタ・タナカイチローの修理ですね。いやいや、鋭意努力してますよ、ウン」
 なぜかあらぬ方向に視線を逸らしながら答えるコルベールを見て、全員、「忘れてやがったな、このヤロウ!」と思ったが、貴族の慎しみとして、そこは口にしない。
 ──少なくとも修理が終わるまでは。

 「あーーっと…それで、いろいろ調べてみたんですが、ミスタ・タナカの身体はまさにオーバーテクノロジーの宝庫でね。正直私の手におえない部分も多いのですが……」

 4人を部屋に招き入れ、ビーカーでお茶を薦めながら──もっともタバサ以外は全員辞退
したが──目を細める、炎蛇の異名を持つ教師兼技術者。

 「ただ、動かなくなった原因らしきものはわかりました。これは頭部内の重要な部品を基盤にとめておくためのパーツなのですが、ここに……」
 と何か複雑な構造物が書かれた図を示す。

 「これを固定するための12本のネジが、1本もありませんでした!」
 道理で頭を振るとカラコロ言うはずである。

 「ただ、ネジらしきものの正確な形状がわからなくて……」
 と、残念そうに首を振るコルベールに、タバサがゴソゴソと懐から取り出したものを差し出す。

 「これ」
 「? 何ですかな?」
 「あ~るの頭から落ちた部品」
 先日の合宿の夜のアレである。

 たちまち、喜色を露にしてネジ(より正確にはボルト&ナットのボルトのほう)を受け取るコルベール。
 「おお、まさにそれです! これを複製して12個に増やせば……」
 らんらんと目を輝かせるコルベール。普段の落ち着いた教師の姿はすでになく、ほとんど新しい玩具を与えられた子供のようなはしゃぎっぷりだ。

 「え、えーと……それじゃあ、頼みましたからね、先生」
 その様子に若干引きつつ、(一応)あ~るの主であるルイズから依頼し、一同は研究室を去った。

 ゆえに、最後に部屋を出たタバサを除き気づかなかったのだ。
 「クックックッ……ええ、安心してください。私がこれ以上ないくらい、しっかりカッチリ直してみせますとも」
 コルベールが顔を伏せ、不敵な表情を浮かべていたことに。

 *  *  *

 ──ってなコトがあった翌日。
 本校舎前の掲示板に一枚の通知書が貼られていた。

 「生徒会長選挙、かぁ。そう言えば、もうそんな時期なのね」
 あまり気のなさそうな素振りで呟くキュルケ。

 「うーん……うん!? そうだ!」
 傍らにいたルイズは、ニヤリと人の悪い笑みを漏らす。

 かつては犬猿の仲だったルイズとキュルケだったが、虚無部(正確にはゼロ部)設立以来、タバサも加えた3人でツルむことが多くなっている。
 さまざまな"わるだくみ"に積極的にからむふたりは、はたから見れば、ほとんど親友ないし悪友といってよい関係なのだが、本人たちに言えば、頑に否定するだろう。
 ……まぁ、彼女たちの片棒を担いでいるタバサに言えた義理ではないが。  

 「あ~るのヤツを生徒会長にするってのは、どう?」
 「……おもしろそうね」
 同じくニヤリと不敵な微笑で応えるキュルケ。
 ふたりがこうなった以上は仕方がない。珍しくこの場にいないワルド先輩も、制止するどころか、煽るだけ煽って高見の見物に回るだろう。

 「手伝う」
 本人不在で選挙出馬を決められたあ~るには不憫だが、タバサも協力を約束した。

 ところが……。
 「ふむ。よかろう、その話乗ったぞ」
 3人の背後には、いつもより3割増しで怜悧な表情を浮かべたあ~るが立っていた。

 *  *  *

 「いきますわよ……」
 緑色の髪の女性が詠唱を開始すると、ずもももーーーっと、土が盛り上がる。
 3メイル程度の高さまで隆起した土は、ひとりの少年の姿を形どった。
 ベンチに腰かけ、気取った仕草であらぬ方向にうつろな視線を向けている、学ラン姿の少年像だ。なかなかよくできている。

 「ふむ。いまひとつ不満が残るデキではあるが、まぁよかろう」
 塑像そっくりな少年が扇子で口ともとを隠しながら、生意気なセリフを漏らす。

 「何、エラそうなこと言ってるんですか! 大体、何で秘書の私がこんなこと……」
 ブツブツ言いながら杖を懐にしまう眼鏡をかけた緑髪の女性。

 「すいません、ミス・ロングビル。お手数おかけしますわ」
 さすがに多少は殊勝に頭を下げて見せるルイズたち。
 いったい何をしていたのかと言えば、会長選出馬のためのPR活動の一環として、中庭や寮の近くにあ~るの像を置くことにしたのだ。

 とは言え、ルイズは虚無?、キュルケは火、タバサとワルドは風の系統のメイジだ。
 寒い時期なら、"雪風"の異名を持つタバサに氷塊を出してもらって彫るという手も考えられたが、いまはまだ夏まっ盛り。作ってもすぐに溶けてしまうのがオチだろう。
 そこで、知り合いの土メイジに土像を作ってもらうという案に落ち着いたのだが……。

 「いやぁ、我々の知り合いで優秀な土メイジは少なくてね」
 こちらはまったく悪びれるそぶりも見せないワルド。
 学院長のオールド・オスマンの秘書であり、優秀な土のラインメイジだと言う触れ込みのミス・ロングビルを、彼が無理矢理引っ張って来たのだ。

 「それは、私もこの学院の職員ですし、生徒の方々に協力することもやぶさかではありませんけど……」
 まだブチブチ言っているミス・ロングビルだったが、いきなり連れ出されて、立て続けに7つも大きな塑像を錬金させられれば、多少は愚痴も言いたくなるだろう。

 「まぁ、そんなに怒るなよ、マーちゃん」
 「「「ま、マーちゃん!?」」」
 馴れ馴れしいワルドの言い草に驚く、ルイズたち。

 「おや、知らないのかね? ミス・ロングビルのファーストネームは、”マチルダ”と言うのだが……」
 「ど、どこでその名前を!?」
 本気で驚いている様子のミス・ロングビル――マチルダ。

 「はっはっは、私は腐ってもグリフォン隊の隊長だよ? 学院から王国に提出された職員名簿をこっそり覗き見するくらいワケないさ」
 いくら学院がある程度独立した機関とは言え、王国に提出する職員名簿には、雇っている人間のフルネームくらいは書くものだ。
 「本当に”腐っても”なところがビミョーね~」
 一応婚約者であるはずの青年のスチャラカぶりに呆れつつ、ルイズが呟く。

 「で、でもミス・ロングビルには、そのお名前は合ってますわ。こう、いかにも”マチルダさん”って感じで知的なお姉さんっぽくて」
 慌ててフォローに回るキュルケ。奔放な性格の彼女だが、濃過ぎるこのメンバーの中にいると、多少は苦労性にならざるを得ない。

 「”マチルダさん”。少年の憧れの才媛。……ただし、結婚関係には不遇。クス」
 タバサの余計なひと言葉に、ルイズも頷く。
 「なんか、いかにも婚約者に早死にされそうな名前よね~」
 ルイズ、惜しい! 死亡じゃないけど婚約解消して逃げられました。

 あまりにも好き放題なふたりのセリフに、こめかみに井桁マークの青筋を立てる”マーちゃん”ことミス・ロングビル。

 (こ、このふたりは……)
 人がせっかくフォローしたのに……とキュルケは頭が痛くなる。
 ツンデレの代名詞のようなルイズはともかく、タバサが意外に毒舌キャラだということは、虚無部に入ってはじめてわかったことだ。親友の新たな一面を知れたわけだが、あまりうれしくはない。

 「な~に、マーちゃんにも何もタダで手伝ってもらおうというワケではないさ。塑像製作のお駄賃として、この”魅惑の妖精亭 3時間飲み放題券”をあげやう」
 「はぁ…あまり王都まで出る機会はないんですけどね……」
 そう言いながらもワルドから券を受け取るロングビル。オールド・オスマンのセクハラその他でストレスが溜まっているようなので、憂さ晴らしに飲みにいくのかもしれない。

 「まぁまぁ、ミス・ロングビル、あ~るが生徒会長に当選した暁には、学院内のセクハラを取り締まるキャンペーンでも、実施してみるから」
 自分が会長になるわわけでもないのに、ルイズは無駄に安請け合いをする。

 「ふむ。そのような些事に関わるのは本意ではないが、これも支配者の務めか。よきにはからえ」
 先日から、あ~るはいつもと違う方向に絶好調だ。まぁ、行動パターンが読みやすいぶん、いつものキテレツぶりよりはマシかもしれないが……。

 「ふぅ、まぁ、いいです。ここまで乗りかかった船なんだから協力しますわ。ところで、どうして急に会長選に出馬しようなんて思ったんですか?」
 諦めの境地に達したのか案外さっぱりした顔つきになったミス・ロングビルが、虚無部の面々に問いかける。

 「コレを見てください」
 よくぞ聞いてくれました! と言わんばかりに、ルイズは自信満々で勝手に引っぺがした例の壁新聞を差し出した。

 どれどれ、とワルドとミス・ロングビルが覗き込む。
 「なになに……”錬金部が作ったエロいフィギュア、部室で内密にお披露目”?」
 「おおぉぅ、確かにこれはエロい!」

 「そ、それじゃなーい!」
 スパパンとハリセンで成人ふたりの頭をはたくルイズ。
 ……ハリセンを手にして以来、どうも目上に対しても尊敬だとか遠慮だとか言う概念が薄れているような気がする。

 「えーと、”ギトー師、酒が入って深夜の塀際でご乱行!?”」
 「”愛の狩人、ギーシュくんの本命は誰だ!”?」
 「そっちも違う! コレよ、コレ!!」
 ルイズが指差す記事には、先日のあ~る首モゲ事件の顛末が記されていた

 「……ミスタ・タナカが一度壊れたと聞きましたけど、壊したのは貴女だったんですか、ミス・ヴァリエール?」
 「え? あ~……それはさておき! 我々虚無部は、ここらでイメージアップ戦略をはかる必要があります!!」
 ロングビルの微妙に呆れたような感心したような視線を避けつつ、ルイズが演説する。

 「……と言うわけで、我々は早急に人心を集めないといけないんです!」
 「自業自得と言う気がしないでもないが……その心意気やよし!」
 「うむ。世界征服の第一歩は、まず学院から! というわけだな」
 ルイズのアジテーションに、ワルドやあ~るが追随するなか、
 (余計逆効果じゃないかしら?)
 と身も蓋もないことを考えつつ、大人の分別ある女性として、ミス・ロングビルはあえて口に出さないことを選んだのだった。

 *  *  *

 校内での選挙活動―に名を借りた様々なパフォーマンス、あ~るの独裁者演説などのおかげで、あ~ると虚無部のメンバーの存在は、学院にじりじりと広まっていった。

 「へー、目安箱にあ~る宛てのファンレターが入ってたわよ」
 放課後、あ~るの院内遊説(と言う名の大道芸)に出かけるまえ、部室に集った虚無部のメンバーは、これまでの広報活動の成果を確認していた。

 「とぅおぅぜんよ! 何たって、このわたしが選挙参謀についているんだからね!」
 と、ナイムネ張ってエバるルイズ。

 「下級生を中心に浸透中」
 タバサが冷静にあ~るの人気を分析する。

 「ふん。私は将来このハルケギニアを統一する人材だぞ。この程度のカリスマがなくでどうする」
 パチン、と扇子を畳ながらクールに豪語するあ~る。相変わらず、独裁者モード絶好調のようだ。

 と、その時……。
 「たいした自信だね、R・田中一郎くん」
 虚無部室の扉を開けて、逆光になった状態で姿を見せる人影。背後に舞い散る薔薇の花びら。

 「やぁ、虚無部の諸君。今日は対立候補として、ひと言あいさつに来たよ」
 「!? き、君は……」
 ハッとした表情のあ~るに見つめられて、少年は満足そうにうなずく。

 「君は………………誰だ?」
 しかし、少年の予想と真逆の答えが返ってくる。
 「ま、またまたぁ……まさかボクを知らないとでも?」
 「うむ。」

 ガックリとうなだれる少年の肩を、続いて部室に入って来た小太りな少年がポンポンと叩き、代りに答えた。
 「やれやれ、物を知らないと見える。彼が、有名な色魔、ギーシュだ」
 「そうそう、ボクが……って、誰が色魔だよ、このマルコメ小僧!」
 胸ぐら掴んで揺さぶるギーシュに、マリコルヌは落ち着いて小声で囁く。
 「おや、女生徒たちが見てるけど、いいのかい?」
 ハッと我に返り、キョロキョロと周囲を見渡して、カッコつけるギーシュ。こういうトコロを見ていると、まさにモンモランシーとお似合いとしか言いようがない。

 「コホン! ……しかし、キミの服のセンスはすさまじいな。塑像のほうは土一色だったから、そこそこ見られたが、本物がこれじゃあね。ボクの敵じゃない」
 咳払いしてから、あ~るをあげつらい始めるギーシュ。どうやら、騒ぎを聞きつけて部室の外に集まった他の部活の人々に、己れなりにアピールするつもりらしい。

 「──あたりまえだ」
 「へ?」
 「私が相手にしているのは、モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシだ。お前じゃない……貴様は、バカか?」
 パサリと扇子を開き、その影から蔑んだ目でギーシュを見下ろすあ~る。

 「のわーーーーーっ、抜かしやがったな、このポンコツ! 決闘だ!」
 当然のことながら、ブチキレたギーシュは、あ~るに決闘を申し込む。
 ヤレヤレだぜ、と言った風情で肩をすくめるマリコルヌだが、止める気はないらしい。

 ──こうして、原作とはまったく異なる(情けない)経緯を経て、ギーシュとの決闘イベントへと雪崩込むのであった、まる。


【第6話.ウケるが勝ち!の巻(後編) 】

 ──それは、突然の出来事でした。

 平凡な魔法学院の2年生だった私が召喚したゴーレム、R・田中一郎との出会い。
 ”アンドロイド”だと名乗る彼を使い魔にした日から始まる、騒がしいけれど楽しい毎日。

 でも、そんなある日、あ~るをつけ狙う悪のメイジが現われたのです。

 『究極超人るいず』……始まります。

 「ちょっと、ルイズ、何ドヤ顔で、どっかで見たような前フリしてんのよ! しかも微妙に事実と違うし」
 「ううう、うるさいわね! ノリよ、ノリ!!」

 *  *  *

 「諸君、決闘だ!」
 ギーシュが、高らかに死亡フラグないし敗北フラグのスイッチを押す宣言をする。
 ……まぁ、この作品はギャグなので、最悪でも死ぬことはあるまい。ポイントは吹き飛ばされるときに「あ~れ~」とか「ぶべらっ!」とかの奇声を発すること。
 反対に「バカな、このボクがっ!」とか「すまない、モンモランシー……」とかシリアスに叫ぶと生還率が下がるので注意されたし。

 集まった観衆(の主に女子生徒)を意識しつつ、ふわさっ、と髪をかきあげながら、気取った仕草でクルクルと薔薇の花を象った杖を弄ぶギーシュ。
 「ボクはメイジなので魔法でお相手……」

 ──カラコロカラコロカラコロ、ドカーーン!

 言い終わる前に、あ~るの走り寄ってのウェスタンラリアートがギーシュの喉元にまともに決まる。

 「ゴホッ、ゴホッ、ガハッ……な、何を……」
 地面に這いつくばり、喉を押さえて咳込むギーシュを見下ろしながら、あ~るはビシッと指を突きつける。
 「愚か者め、戦場に立ったときから、すでに戦いは始まっているのだ」

 普通なら、卑怯者だと言うブーイングが観客から飛びそうなものだが、シリアスモードに入っているあ~るは、普段の数倍カッコよく、また妙な威圧感がある。
 そのため、「そうだなー、油断していたギーシュが悪いよな」的な雰囲気が生まれつつあった。

 しかし……。
 「わたしのギーシュに何するのよッ!」
 周囲の空気を読まずに走り寄り、いきなりあ~るに四の字固めをかける女傑が登場。
 言うまでもなく、次期生徒会長(候補)モンモランシーである。
 地面に転がりながらも、ギーシュは「わたしのギーシュ」という台詞に感動していた。

 とは言え……。
 「ちょっ、アンタ、神聖な決闘を!」
 ”ま、あ~るの怪力ならギーシュのワルキューレごとき瞬殺だろう”と高見の見物モードに入っていた虚無部の面々のうち、もっとも沸点の低いルイズがたちまちプランチャーで場外から乱入。くんずほぐれつ、女どうしのキャットファイトへと発展。さらに……。

 「うむ、私は誰の挑戦でも受ける!」
 いつの間にやら現われたワルドが、中指を突きたてた下品なポーズで周囲を挑発したものだから、たちまち、あたりに場外乱闘の嵐が広がる。

 結局、決闘の行方はうやむやになり、後日の生徒会長選挙でケリをつけよう、ということになった。

 *  *  *

 ――みなさま、モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシです、お気軽に”モンモン”とお呼びください

 ――みんなのモンモン、明るいモンモン、学院の明日を考えるモンモンです……

 ――この学院は、いつだって『こんなはずじゃない』事ばかりです。こんなはずじゃない現実から逃げるか立ち向かうかは個人の自由です。 ですが、自分の勝手な楽しみに無関係な人間まで巻き込んでいい権利は、どこの誰にもありはしません!!

 中庭での決闘(乱闘?)騒ぎの一件以降、リベンジに燃えるモンモランシー一党は、これまで以上に選挙活動に力を入れ始めた。

 昼休みにも、「生徒会長候補」のたすきをかけて、各教室を遊説して歩く熱心さだ。
 何より、自らは嫌っていた”モンモン”と言うニックネームを、覚えやすいだろうと言う理由で渋々ながら受け入れたことからも、その本気具合がうかがえる。

 一方、あ~るを擁する虚無部のメンバーはと言うと……。
 「む、これはいけない!」

 突然、部室の中で仁王立ちになるワルド。
 ……本当に、いつ働いているのだろう。

 「このままでは、あのモンモンとか言う小娘に、生徒会長の座を奪われてしまう!」
 「いや、奪うも何も、元々あ~るのものじゃないですけどね」
 キュルケは苦笑しつつ、なだめる。

 「それに、増設したあ~る像や、無料配布した小冊子の効果も、少しずつ現われてきたみたいですよ」
 あれから、再びミス・ロングビルをおがみ倒して、さらに12個の土像を作ってもらったのだ。
 また、コルベール謹製の”ぷりんと蛇くん”というガリ版刷り装置を、おっかなびっくり使って(幸い爆発はしなかった──あたりまえだが)、あ~るの魅力(?)をアピールするためのパンフレットを作成し、各教室に播いたりもした。

 ただ、虚無部員たちが一丸となって頑張っているなか、肝心のあ~るはと言えば……。

 「もぐもぐ…今日も、ごはんがおいしひ……」

 すっかり修理される前のゆる~い人格に戻ってしまっていた。
 どうも、モンモンの関節技がいい具合に入って、頭脳部のネジをまた緩めてしまったらしい。

 「この大バカものーーっ!」
 神速のハリセンさばきを見せるルイズ。
 さすがに、この時期に壊してしまうのはマズいと考えたのか、以前のような全力ではないが、普通の人間なら頭を押さえて声も出せずにうずくまってしまってもおかしくないほどの威力だ。

 「い、痛いぢゃないですか、ルイズさん」
 なにせ、痛覚があるのかないのかよくわからないあ~るも、涙目で抗議してくるくらいだ。

 「だ~いじょうぶ! 痛いような気がするだけで、ホントは痛くないのよ!!」
 「そんなものですか……」

 「──騙されてる……」
 タバサがポツリと指摘するものの、それくらいで気にするようなヤワな神経の持ち主はココにはいない。

 「……そんなことよりも、モンモンの選挙活動に対抗する方策を考えないと」
 諸々のやりとりを”そんなこと”の一言で切って捨てて、ワルドが考え込む。
 釣られて、ほかの部員たちも何かよい案はないかと、考え始める。

 「まぐまぐまぐ……ゴックン!」
 ──あ~るだけは、いまだひとりでごはんを食べていたが。
 そう言えば、コヤツはどこからお米を手に入れて来るのだろうか?

 「む、キタ! あ~る君、本校舎の横にある塔に行くぞ!」
 唐突にワルドの脳裏に何か閃いたらしく、慌ただしくあ~るを連れて走り出す。

 外に出てすぐフライの魔法で塔のてっぺんへと飛んだ面々(ルイズはワルドが抱え、あ~るは、轟天号で有無を言わさず壁面を駆け登った)。

 一同が揃うと、ワルドは何か風系統らしい魔法をかける。
 「サイレンスの逆魔法で、声を拡散させるようにした。さぁ、あ~る君、キミの抱負をここから大声で叫びたまえ」
 ワルドに言われ、しばし考え込んだのち、あ~るは両手を口元に当てて叫ぶ。

 「わたしはがっかいにふくしゅうしてやるんだ~~」

 「違うでしょ!!」 スパーン! 
 勿論、瞬時にルイズのツッコミが入る。

 「いえ、おとーさんが昔、こう叫んでいたのを思い出しまして……」
 「どんな父親なのよ、それ!?」

  「復習(ふくしゅう);習った事を自分でもう一度勉強すること。おさらい」

 「僕のお兄さんお姉さんを作ってくれた人です」
 「そりゃあ、そーかもしれないがね……」

  「副集(ふくしゅう);本題となる書物に添付される副読本。サブテキスト」

 「ちなみに、妹の名前はR・高峰秀子と言います」
 「そんなのことは聞いとらん!」 ──スパン!

  「服従(ふくじゅう);素直で命令をよく聞くこと」

 「……いや、タバサ、それはもういいから」

 とまあ、結局、いつも通りのグダグダな流れになってしまう虚無部だった。

 *  *  *

 そして、ついに迎えた生徒会長選挙の日。

 ──開票の結果、ミス・モンモランシ、483票。ミスタ・タナカイチロー、482票。無効票1。よって、生徒会長はミス・モンモランシに決定しました!

 「クッ、あと1票あれば……」
 「無効票の1票がこっちに入ってれば、再勝負に持ち込めたのに……」

 壇上で選挙管理委員が読み上げた結果に悔しがる虚無部のメンバー。
 もっとも、勝負には敗れたものの、精一杯頑張ったという自覚があるので、意外に落ち込まず、サバサバしてるようだ。
 せっかくだから残念会でもと考えている彼女らに、新生徒会の3人が近付いて来た。

 「ハッ、やはり正義は勝つ! ですわ」
 「ふん、たったの一票差だったクセに!」
  睨みあうモンモンとルイズだったが、どちらからともなく、フッと視線を和らげた。

 「それでも勝ちは勝ちよ。……まぁ、善戦したことは認めてあげてもよろしいですけれど」
 「そっちこそ、会長になって早々にリコールなんてされたら許さないからね」
 「当然です! まあ、今日のところは、好敵手として、祝勝会に特別にご招待してさしあげます」
 「随分偉そうね。ま、折角だから、今日だけはお呼ばれしてあげる」
 口は悪いものの、死力を尽くして戦ったライバルどうし(本当か?)が、互いの健闘を称える様子に、周囲の雰囲気が和む。


 ……と、ココで終われば、「ちょっといい話」だったのだが。

 「えーと……ルイズさんに投票してはいけなかったのでしょーか?」
 「「「「「「「!」」」」」」」

 あ~るが爆弾KY発言をしたため、空気が一気に凍りつく。

 「アンタか!? アンタのせーか!?」
 「わ、わたしはこんなヤツあいてにいっぴょうさでしかかてなかったの……」

 ──その後の祝勝&残念会という名の憂さ晴らしの場は、大いに荒れたと言う。


 ~第一部完・「第7話.さすらいの虚無部の巻」につづく?~
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まとめtyaiました【『究極超人るいず』(後編)】

 最近は、『ドラゴンズドグマ』で、男の娘っぽい自キャラに筋肉ムキムキのごっつい女戦士のポーンのカップル作って冒険させたり、『P4G』でできるだけ鬼畜な選択肢を選びつつ進めたり、『アキバズトリップ+』でネタ技をいかにカッコくよく当てるか試行錯誤してます。 ?...

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