『王女様と私』4

「ととモノ」二次創作とは名ばかりの、エルフの男の娘(?)ストーリー、その第4話をお届け。今回は、ちょっぴり15禁R指定風味です。




王女様と私
act4.窮鳥懐に入れば

 その朝、ドラッケン学園学生寮特別棟の入り口で番をしている中年の警備員──元・戦士のヒューマンは、片手に大きなトランクを提げた見慣れぬ赤い制服を着た女学生が、近づいてくるのを目にした。
 「おっと、嬢ちゃん、止まってくれ」
 声をかけられ、ハルバードの柄で通せんぼされたエルフの少女は、ビクッと立ち止まり自信なさげな視線を彼に向けてくる。
 「すまないが、ココは特別棟だ。見たところ、別の学校の生徒さんみたいだが、ココには文字通り特別に許可を得た者しか入れないんだ。中にいる人に用事があるなら……」
 取り次ごうかと続ける前に、彼の言葉は鈴を振るような可憐な声に遮られた。
 「あの……知ってます。えっと……コレを」
 少女が差し出したのは特別棟通行許可証。それも1回限りの臨時通行証ではなく、常時行き来を可能とする代物だった。
 「こりゃあ、タマげた。アンタ、王室関係者か何かかい?」
 「いえ、その……」
 エルフ娘が口を濁しているトコロを見て、世知長けた警備員は、慌てて首を横に振った。
 「いやいや、いいんだ。無用な詮索するのが俺の仕事じゃないからな。ほら、どうぞ」
 「はい……すみません」
 ペコリと頭を下げると、他校の──警備員は知らなかったがプリシアナ学院の女子制服を着た少女は、特別棟の建物の中へと消えて行った。

 彼女の姿が完全に視界から消えたのを確認してから、警備員は溜息をついた。
 「はぁ~、かなりのペッピンさんだったけど……やっぱり、あの娘も、姫様のお手付きか、もしくはこれから喰われるのかねぇ」
 ──どうやら一部の人間には、男嫌いなキルシュトルテのストロベリーなシュミについては周知の事実のようだ。
 「非生産的っつーか、もったいない話だぜ……っと、イカンイカン。姫様やあのメイドに聞かれたら、首がトんじまわぁ」
 ブルルッと背中を震わせて、警備員は再びその職務に戻った。

 もし、先ほどのエルフの「少女」が、警備員のひとり言を聞いていたら、かなり複雑な表情を浮かべたことだろう。
 確かに、「彼女」がこの特別棟に来た目的のひとつは、これから王女とねんごろな関係になることではあるし、立場や性格的な面からして「喰われる」という表現もあながち間違いではない
 しかし、後半については本人は断固として抗議したいトコロだろう。
 「非生産的じゃないです! ボクは男なんだから!!」と。
 言うまでもなく、この「少女」は、ヒューレットパーティの弓使いの少年、エルファリアだった。
 女生徒を可愛く見せることに定評のあるプリシアナ学院の女子制服をまとい(ニーソとカチューシャも完備)、アップルの手で薄く化粧(と言っても、口紅を引き軽く香水をつけたくらいだが)を施された姿は、まさに美少女そのものだ。
 これでは、間近で会話を交わした警備員が女の子と思い込んでも無理はない。──もっとも、それを本人が喜んでいたかと言うと大いに疑問だが。

 想い人に早く会いたい気持ちと、この姿をさらしたくないという気分が拮抗して、エルの歩みは結果的にゆっくりと落ち着いたものになったが、それでも程なく広間に通じる扉の前に着いてしまう。
 フゥとひとつ深呼吸してから、エルはノックをしようと右手を持ち上げた……ところで、音もなくドアが開く。
 「え! あ、あれ!?」
 「ふむ。やはり、お主か。わらわの仮初の住居(すまい)に、よく来たの」
 突然の事態に戸惑うエルに、聞き覚えのある声がかけられる。無論、正面のソファに横柄な態度で座ったキルシュトルテから投げ掛けられたものだ。
 「あ、はい、こんにちは、お邪魔します」
 一瞬目を白黒させてはいたものの、姉貴分のディアボロスの薫陶の賜物か、室内に一歩足を踏み入れ、両手を腰の前で揃えて礼儀正しくペコリと頭を下げるエルファリア。その様子は、外観ともあいまって「初々しい女学生」そのものだ。
 ちなみに、もし貴婦人の衣装などのドレスを着ていればスカートを摘まんで膝を曲げただろうし、着物姿なら正座して三つ指ついていたかもしれない。どうやら仕草に関しても、(主に姉の仕込みで)知らず知らずに矯正されているらしい。

 「(おぉ、可憐じゃ……よいよい)」
 そんなエルの様子に一瞬見惚れていたキルシュトルテだが、傍らの侍メイドが「コホン」と空咳をすることで我に返る。
 「あ~、その……あのフェラント伯爵の娘から一応話は聞いておるが、お主の口から改めて聞こうか。
 エルファリアよ、お主がココに来たということは、我がパーティーに入り、わらわのそばに侍る覚悟が出来たからとみなしてよいのじゃな?」
 いつになく真剣な表情の王女の問いに、エルもまた精一杯の誠意を込めて頷く。
 「はい。ボクは、キルシュトルテさんの側にいたいです。盾となって貴女を護り、あるいは弓となって貴女の敵を射抜きましょう……」
 (そしていつか、貴女の恋人になりたいです)
 という後半部分は、人目(クラティウス&シュトレン)もあったので、自重する。

 「よし、あいわかった。それでは今日からお主はわらわのモノじゃ」
 字面だけ見れば不遜このうえない物言いだが、この姫君は我儘放題に見えて案外抜け目がない。
 その彼女があえて「自分のモノ」と宣言するということはエルをクラティウスやシュトレン同様、自分直属の「身内」として遇するということだ。
 王女の傍らに控えたクラティウスは、ごく一瞬だけピクリと眉を吊り上げたが、主の決定に異議を差し挟むような真似はしない。
 また、シュトレンの方は、姫のお守役が増えて自分の負担が多少減るだろうことを単純に喜んでいるようだった。
 「ありがとうございます! 不束者ですが、よろしくお願いします」
 これまでの経緯で拒まれることはないだろうとは思っていたが、それでも正式に想い人のパーティーに加入できたのは、恋するエルフ少年にとっては喜ばしいことだった。

だがそこで、彼がホッと肩の力を抜いた瞬間をみはからったかのように、キルシュトルテの指示が飛ぶ。
 「ふふふ……まぁ、細かいコトは後回しじゃ。エルファリアよ。荷物を置いて、もそっと近う寄れ」
 先ほどまでは、やや驕慢な響きがあるとは言え、確かに王女と呼ぶにふさわしい威厳と気品が感じられたキルシュトルテの顔は、一転イタズラを企む年相応のワガママ娘のそれに変貌している。
 さて、どんな無理難題を言いつけられるのかと思いつつ、それでも嬉しそうに近寄って行ってしまうエルは、けなげと言うか一途と言うか、あるいは仔犬っぽいと言うべきか……。

 ソファのすぐ前、わずかあと一歩踏み出せば手が届くという場所まで来たところで、キルシュトルテは身振りで彼の歩みを止め、とんでもないコトを言い出した。
 「ふむ。そう言えば、あのアップルとかいう娘に託したその衣装は気に入ったかえ?」
 「え。あの……は、はい」
 「女装」自体は王女のそばにいる必須条件なのだから、その点について今さら不満を言っても仕方ない。
 だとすれば、動きやすく、かといって極端に露出が多かったり奇天烈なデザインというワケでもない学院の制服というのは、確かにベストではなくともベターな選択だろう。

 「そうか、それはよかったのぅ。わらわも苦心して選んだ甲斐があったと言うものじゃ♪」
 「キルシュトルテさん……」
 ニッコリ微笑む想い人の言葉に、エルも「わざわざボクのために」と感激する。
 そのまま、ほのぼのした空気が漂うかと思われたのだが。
 「ところで……」
 と意味ありげに言葉を切るキルシュトルテ。
 「わらわが贈ったものは「すべて」キチンと身に着けておろうな?」
 一瞬、その意味がわからなかったエルだが、すぐに彼女の真意を悟って、頬を微かに赤らめる。
 「──はい、ちゃんと着て来ました」
 「ほぅ、そうかそうか。しかし、お主を疑うワケではないが、わらわは何事も自分の目で確認せねば気が済まぬタチでな」
 なんだか雲行きがアヤしくなってきたようだ。

 「えっと……ボクにどうしろ、と?」
 「何、簡単なことよ──エルファリア、スカートを自らまくってみせるがよい」
 「!!」
 まったく予想していなかったわけではないが、いざ本当に言われてみると、ショックなセリフだった。
 「えっと……その……自分で、ですか?」
 せめて他の人がまくって確認するというのではダメなのか、という意図を込めて聞いてみたのだが。
 「他人の手を煩わせるまでもなかろう。お主が自分で、そのスカートをめくって、お主の履いている下着を、わらわに見せるのじゃ」
 イジメっ子の本領発揮と言うべきか、キルシュトルテはワザと作った厳粛な面持ち浮かべながら、一言ひとこと区切って克明に命じた。

 「はぅ~~~…………わ、わかりました」
 しばし躊躇ってはいたものの、断るためのそれらしい言い訳は思いつかなかったらしい。
 純情少年はおずおずと赤いプリーツスカートの裾を両手で握りしめ、ゆっくりまくり上げ始める。
 すばやさに長けたエルフの狩人とは思えぬほどノロノロした動作だったが、逆にソレが見ている者にとっては絶妙な焦らしとなっていた。
 はしたなくも鼻息を荒くしたキルシュトルテは無論のこと、シュトレンは「うわぁ」と言いつつニヤニヤしているし、あのクラティウスさえこの成り行きに興味を隠せずにいる。

 ほどなく、スカートの裾をつかんだエルの手が胸元近くまで持ち上げられた。
 「あ、あの……どうでしょう?」
 エルフ特有の長い耳まで真っ赤になった彼が、羞恥をこらえて尋ねるが、キルシュトルテは首を振る。
 「いかんなぁ。これ、クラティウス。こういう時は、どういうセリフを言うべきか、あやつに教えてやれ」
 「はい、姫様」
 スッと足音も立てずに背後に近寄ったメイド侍が耳元で囁く言葉に、「ほ、ホントに、そんなコト言うんですか!?」と涙目になるエルフ少年。

 「──ぼ、ボク、いただいた可愛らしい下着をキチンと履いて来ました。どうかじっくりご覧になって、ご確認くださぃ……」
 (はぅぅ~、は、恥ずかしいよぅ! ボク、男のコなのに、自分でスカートめくって……女の子のパンツ履いてるトコロ、見られてちゃってるぅ)
 だが、その恥じらいこそが王女が見たかったものであり、またそんな羞恥を晒すことに自分が微かな快感を覚えていることに、エルはまだ気付かなかった。

 「よかろう。新入りとは言え側近に、そうまで熱心に頼まれては、わらわも主として応えぬワケにはいかぬからな」
 口ぶりとは逆に、並々ならぬ熱意を込めてエルのスカートの下から現れた下腹部をガン見するキルシュトルテ──とオマケのふたり。
 3対の視線が集中する感覚に、たまらず身をよじるエルだが、それがまた一層見る者の萌え心を刺激すると、わかっているのだろうか?

 「──のぅ、クラティウス、シュトレン?」
 しばしエルの下着(レース飾りがふんだんにあしらわれた白のショーツ)を凝視していたキルシュトルテは、ふたりに側近に尋ねる。
 「はい」
 「何ですか、姫様?」
 「男の股間には女とは異なる棒状の突起物がついていると聞いていたのじゃが……?」
 確かに、エルの下腹部を覆うショーツには、ほとんど膨らみらしきものは見当たらない。
 「姫様、アレが俗に言う短小というヤツなのでは?」
 「おぉ、なるほど」
 メイド娘の軽侮の込められた言葉に、ポンと手を打つキルシュトルテ。

 そこまで言われては、さすがにエルも抗議する。
 「ち、違いますぅ! その……後ろに回して折り曲げてから、パンツ履いてるんです!!」
 ちなみに、そうすることを着替え時に提案したのは、元のパーティの知恵袋たるノームの錬金術師メグだった。
 おそらく、王女が百合趣味ということで、できるだけ女の子に近い外見の方がウケがいいと考えたのだろう。

 「ほほぅ、男のアソコはそんなコトもできるのか」
 幸いにして、その処置は姫君の興味を惹いたようだ。
 カツカツとヒールを鳴らして近づいてきたキルシュトルテが、さわさわとエルの股間に触れる。
 「ひゃンッ!!」
 「ふむ、確かに、何か固いモノがあるな。それにしても、お主、可愛い声で啼くのぅ」
 王女はとくに嫌悪感を示すこともなくソコの形を確かめた後、そのまま素早く背後からエルの体に抱きつく。
 「あ! き、キルシュトルテさぁん……」
 ふたりの身長はほとんどないが、ヒールの高いブーツを履いているせいか、キルシュトルテのほうが、わずかに大きく見える。
 年上の想い人に包み込むように抱き締められ、陶然となってソレを受け入れてしまうエルファリア。

 「ふふふ、抱き心地も匂いもよいのぅ。まっこと男とは思えぬ逸材よ」
 王女はその体勢のまま、エルの制服のベストの下に手を差し入れる。
 「な、何をスるんですか!?」
  「大したことではない。上もちゃんと付けておるか、確かめるまでの話じゃ」
 エルのか細い抗議も意に介することなく、手慣れた風に腕の中の少女(にしか見えない少年)の制服のボタンを外してしまうと、肌蹴られたベストとブラウスの襟元からは、ショーツと対になった白いブラジャーが覗いていた。
 「うむ、キチンと着けてるようじゃな。感心感心」
 言いながら、エルの胸をブラジャーの上から円を描くように撫でる。
 「ふぁ……ンっ! や、やめて……くださいよぅ」
 無論、エルの弱々しい懇願は聞き入れられない。

 乳房など皆無に等しい(むしろあったら問題だ)エルの胸ではあるが、着用時に脇の余った肉などをブラ押し込んである(コレもメグの入れ知恵)せいか、一見したところ、貧乳というか微乳と呼べる程度の膨らみはあるように見えた。
 そのわずかな盛り上がりを掌で愛でつつ、キルシュトルテの指先が巧みに男の胸には無用はずの突起を探りあてる。
 「お! なんじゃ、ココをこんなに尖らせおって。お主も感じておるのじゃろう?」
 「ひン……そ、そんなことォ……」
 口では否定しているものの、甘い声と熱い吐息を洩らしている様からは、エルの真意は明らかだった。
 ニヤリと笑うと、だが、そこでキルシュトルテは唐突に体を離した。
 中途半端に火照ったまま放置されて、「エッ!?」と驚くエルファリア。
 「さて。確かにお主が下着を着けておることは確認したぞ。では、クラティウスよ、部屋に案内してやるがよい」

-つづく-
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