90年代的館モノ追想

 初代支援所に投下した「山の彼方の空遠く」という館モノSSをリライトしようとふと思い立ち、参考にするべく昔プレイした館モノ系エロゲーを思い起こしてみました。
 順不同に私が思いつく限りタイトルを挙げると……

●神樹の館 ●夢幻夜想曲 ●女郎蜘蛛 ●慟哭 そして ●化石の歌
●顔のない月 ●ELYSION ●夕霧~人形師の遺産~ ●禁断の血族
●河原崎家の一族 ●黒猫館 ●捕われた硝子の心 ●幻夢館
●雑音領域 ●人形の館 ○トワイライトホテル ○サナトリウム
○シークレットゲーム ○怪奇!ドリル男の恐怖 ○イントルーダー 

 ……プレイした限りではおおよそこんな感じでしょうか。○については厳密には「館モノ」とは言いきれないのですが、テイストとして大きく重なる部分もあるのでリストに入れました。洋館もいいですが、個人的には和風お屋敷の方が好きかも。

 以下、好き放題に「語り」ます。


 まず、現時点までで個人的な「館モノ」の最高峰エロゲは、最初に挙げた2作「神樹の館」と「夢幻夜想曲」。

 このうち、「夢幻夜想曲」については、システム的に古臭いし、シナリオも今となっては、やや陳腐に思えるだろう事は百も承知してます。
 ですが、PC98版が出た当時、この作品の持つ独特の雰囲気──哀切と希望の相反する両立に完全にノックアウトされた記憶は今なお色褪せません。
 「ひとりの人間が本当の意味で幸せにできるのは、せいぜいひとり」と言うペシミスティックながら含蓄のある女主人の言葉も実に私好み。……そうか、もしかすると、だから「万人を救う正義の味方」にコレっぽっちも憧れないのかも。「F●te」の桜エンドも大好きだし。その意味では士郎にプレイさせてみたい(笑)。
 ヒロインにも、幽霊や吸血鬼、輪廻の輪を離れた存在などが登場し、しかも他の「普通の人間」な娘たちより魅力的だったため、非常に心を揺さぶられました。
いろんな意味で、私の「嗜好/思考」性に大きな影響を与えていると言えるでしょうね。

 95年の「夢幻夜想曲」に比べると、「神樹の館」は2004年ですから、これらの中でも比較的新しめ。しかし、和洋折衷というか両者がほどよく溶け合った世界観/舞台と、謎解き&伝奇要素満点のストーリー、それらを綴る田中ロミオ氏の精緻な描写があいまって、非常に満足度の高い作品でした。
 3組の表のヒロインそれぞれにちゃんとしたエンドを設けつつ(麻子のハッピーなんて涙出そうになるほど切なく、かつ嬉しい)、最後のグランドルートで竜胆様が全部もってっちゃうのは誠に卑怯(笑)。そう言えば、彼女でロリババァ属性に目覚めたのかも!?

 次点としては、SM調教シミュでありながら和風館モノの悲劇と浪漫を過不足なく盛り込んだ「女郎蜘蛛」(蝶子さ~ん!)や、18禁ではないもののゲーム性・キャラクター性・悲劇性とエロチシズムを見事に実現している「慟哭」なども、非常に秀逸でお気に入りな作品。特に後者の隠しヒロイン華苗については(薄々予想してたとは言え)衝撃的でした。

 閑話休題。館モノの必須条件として、「館/お屋敷/豪邸が舞台である」ことは基本だとして、「舞台に強い閉鎖性があること」、「主人公が外部から来たマレビトである(そして館側の思惑に踊らされる)こと」、そして「非常に悲劇性が高いこと」あたりが、必要条件ではないかと私は見ています。
 その意味で、仮にどんなに立派なお屋敷が舞台で、メイドさんと厳格な(女)主人がいようと、明るくキャッキャウフフするだけだったり、主人公が最初から館に属する人間だったりすると、私的には館モノとは言い難いかなぁ、と(「メイドさんと大きな剣」とか。アレはアレで好きなんですが)。
 逆に、厳密には「館」が舞台ではないものの、「トワイライトホテル」や「サナトリウム」などは残る3条件を満たしているので、十分「館モノ」の範疇に入ると判断。「シークレットゲーム(キラークイーン)」も、表面的雰囲気こそ「館モノ」とかけ離れていますが、3条件を満たすうえ、「館側がもたらす突発的で凄惨な死」や「逃れられない運命とその克服」などの要素から、ある意味で「館モノ」近似の作品なのかと考えてみたり。
 なかでも「悲劇性」、とくにヒロインにまつわるソレは絶対必須。「夢幻夜想曲」の刷り込みによって私は、「運命に捕らわれ翻弄されるヒロインを、同じく運命の荒波に揉まれる主人公が助けようとする」ことこそが、「館モノ系エロゲー」の醍醐味だと考えているので、「主人公ひとりだけ無事に助かったヨ、よかったね、HAHAHA!」というエンドは、下手したら全滅エンド以上に鬱になります。

 そう言えば、あまり一般的に評価はされていないし、私の目から見ても確かに客観的にデキはよろしくない「夕霧」という作品を夢中になってプレイした記憶が。
 この作品って、まさに↑で言う「主人公だけ助かる」のがベストエンドなんですよ。何とかしてヒロインのどちらかだけでも屋敷から救い出せないか、無駄な試行錯誤(あがき)を何十回と繰り返しました。
 本作のふたりのヒロイン──初音と結衣がまたよくできていて、基本彼女達は「館側の人間」なんです。主人公を罠にハメる、まさにハニートラップ。しかし、主人公の選択如何では、彼に強い好意を抱き「こんなトコロにいちゃダメだ」と逃がしてくれようとする。よって、上手くすると無事に逃げ出せるんですが、反面、主人公は決して彼女達を救えない。一緒に連れて行けないんですね。コレにはマジで凹みました。主人公に惚れた際の彼女達が、とてもけなげで儚くて……。
(この記憶があったからこそ、「神樹の館」の麻子エンドで感動したのかも)

 いつか、この「夕霧」のIF展開的二次創作を書こう書こうと思っていたのですが、未だ果たせず(ゲームの記憶もわりと曖昧になってしまったので)。
 けれど、そんな想いの一端を込めて書いたのが、「山の彼方の空遠く」だったりします──前置きが長くなってしまいました。
 本編(山の彼方の空遠く)は次回に!
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No title

ウィロー・シードさんの「冥奴の館」に触発されたSSでしたっけ。
違っていたら御免なさい。

Re: No title

> ウィロー・シードさんの「冥奴の館」

おぉ! そんなタイトルでしたっけ。確かに読んだ記憶はあるのに、タイトルその他がわからず、検索できずにいたため困ってました。
おっしゃるとおり、アレに影響されたことは事実です。
とは言え、ソレだけでは何なので、自分のエロ萌え系SSの中でも比較的評判の良い「北の国」シリーズの、同工異曲的なモノを狙ったと言う側面もありますが。
「幼馴染のふたり」が「旅先でバイト」し、「その片方が女性化」しつつ「自らそれを受け入れ」、そして「もう片方の男に惚れる」──という構造。陽と陰の関係ではありますが。
ちなみに、両作の4人は実は同じ大学(孟宗館大学)に所属してます。

No title

この中で私がプレイしたことあるのは、
『夢幻夜想曲』『慟哭 そして…』『顔のない月』『禁断の血族』
『河原崎家の一族』『捕われた硝子の心』『雑音領域』ですね。
一つのジャンルとしてあるからかもしれませんが、
自分で思った以上に手を出してました。
もっとも、『慟哭』は華苗EDを未見、『顔のない月』は中断したまま、
『河原崎家』は1、2ともけっこうな数のEDを見たはずなのですが
コンプリートしたかどうかは自信がない、という状況ですけど。
そう言えば『繭 雪のナイフ』も同様ですね。

他にもあったかもしれませんが…仰るような「必要条件」からすれば
例えば『夢幻泡影』などは「館モノ」には該当しないことになりますかね。
あれは主人公が館を造って引きこもり、周囲を振り回す役どころですし。
(内面に目を向けるなら、“彼”もまた、もがいているわけですが)
あと個人的に「館モノ」というと
「最後に炎上する」ようなイメージがあるんですが、どうしてでしょう。
そんなものばかりではないと思うんですが…。
「二度と行くことができない」場所になることによって、
「閉鎖空間」「異郷」的な位置付けは強くはなるのでしょうが。


『夢幻夜想曲』は私も好きでした。
音楽も素晴らしかったですね。
不思議なこと、不気味なことも起こるものの、
登場人物たちは迷いに捕われているだけで、
ヒロインと2人、館を脱出という終わり方ではなくても、
もの哀しくはあっても後味の悪さはない。
いつまでもひたっていたいような、そんな雰囲気の作品でした。


『慟哭』は…家庭用ということで直接的な描写はないのに
行動を誤った場合のヒロインたちの死のシーンが凄まじく…。
特に最初に見てしまった千砂のシーンはトラウマものでした。
まあ主人公自身もうかつな行動ですぐに死にますが。
「ハッピーエンドとかそんな浮ついた話はあと!とにかく全員脱出!」と
何度も死んだり死なれたりしながら、脱出できたときは達成感がありました。
(そういえば主人公ひとりが脱出できるEDもありましたね)
ソフトもサターンもまだ持ってますけど、
『Revive 蘇生』のように、どこかがPCに移植してくれないものでしょうか。

キャラクターデザイナーが同じ人で、システムもよく似ている
『遺作』というゲームもありましたが…これは「脱出モノ」ではあっても
「館モノ」とはどうしても言えませんね。

長文失礼。

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Re: No title

「夢幻泡影」は私もひととおりプレイした記憶があります。
テイストとしては、やはり「館モノ」という区分けとは少し違うかなぁ、と。
文中で書き損ねたのですが、主人公が客人であるということから、「館の謎を解く」という
要素もあると思うので。主人公が「館の主人」だと、その部分がなくなっちゃうんですよね。
その意味では、主人公が長年音信不通だった祖父の遺言で館を相続し、
初めて館にやってくる「マージ」などは、例外的に主人公が「ご主人さま」でありながら
館モノと言ってよい作品かもしれません(若干悲劇性は不足気味ですがないわけではありませんし)。

「慟哭」については同感。なぜ、どこかで移植/リメイクしないのかッ!?

Re: No title

あくまで、私なりの「館モノ」の定義です。極論すれば、「あなたが館モノだと思う
ものが館モノ」なので、 それほどお気になさらぬよう。

「とある」のアナザー主人公物は読みたいかも。新人くんが勤め始めた日が、くしくも
「例の日」で、「先輩メイド」だと思っていた(しかも美人で優しいのでちょっと憧れてた)
人物が、翌日本物のご主人様だと知らされて混乱する……とか。
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KCA(嵐山之鬼子)

Author:KCA(嵐山之鬼子)
Pixiv、なろう、カクヨムなど色々書いてます。感想などもらえると大変うれしいです。
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