TH2・SS 『ねがいはひとつ』前編

初代「トゥハート」では綾香&セリオのコンビがいちばん好きです。その点、「2」の姫百合家は実にいいですね!
というワケで、珍しく「トゥハート2」のSSなどを。
今の前振りで、中身はバレバレでしょうが。

『ねがいはひとつ』
その1.花嫁は……?

「うーん、どうしたものか」
 俺、河野貴明は自室で悩んでいた。
 先程――下校途中で見かけた、ピンク髪のちょっとヘンな少女を助けたところ、「うーは、るーの恩人だ。何か願い事はないか? 何でもひとつかなえてやる」とマッチ棒のようなものを渡されたのだ。
 その際、いくつかの奇跡らしき出来事を見せてもらったので、これが単なる電波少女の戯言ではないことは、一応納得はしている。

 しかし――とくに"願い事"というのが思いつかないのだ。
 別に自分が無欲だとは思わないが、今の日常には十分満足しているし。
 それに叶う"願い事"はひとつなのだ。
 せめてこれが3つとかなら、くだらない願いを1、2個かなえてもらって様子を見たり、ヤバい願いをあとのもので取り消すこともできる。
 だが、ひとつだけとなると、下手な願い事をして逆に自分の首を締めるハメになってはたまらない。

 不意に少女の言葉を思い出す。
「年ごろの牡なら何かしら願いがあるだろう。良き連れ合いが欲しいとか」

(連れ合いって、この場合、お嫁さんってことだよなぁ)
 確かに、それはちょっと欲しい、かもしれない。

 ──この貴明は、いわゆるヘタレのレッテルを貼られている。女の子と話すだけで心臓がバクバク、手なんて触れようもんなら動揺しまくることしょっちゅうよ!
 なんて、どこかで聞いたような台詞が浮かんでくる。
 だが、そんな俺だって、決して女の子に興味がないわけじゃあない……と言うか、正直に言えば大いに興味はある。

 しかし……自分の好みのタイプ、それも「お嫁さんにしたいような女性」と言うのはいったいどういう人なのだろうか。

 試しに知り合いの女の子の中からタイプを絞り込んでみることにする。

 まず、「優しい」。これは絶対だよな。
 幸いと言うべきか、これは大半のメンバーが当てはまった。
 黄色い子とかピンク髪の先輩の顔が消えたような気がするけど、キニシナイ!

 えーと、欲を言えば「美人で女らしい」……かな。
 幼なじみのこのみや姫百合姉妹のような娘たちは、「可愛らしい」とは思うが、恋愛対象とはちょっと違うかもしれない。
 「え~、ヒドいよタカくん」とか「る~」とか言う抗議の声が聞こえたのは気のせいだろう。

 「料理とか掃除とかの家事が得意」で……。
 なぜか脳内で、草壁さんといいんちょがガッツポーズし、逆に由真が悔しがる映像が浮かぶ。

 欲を言うなら「プロポーションが良く」て……。
 ──あ、いいんちょが点滅気味。草壁さんはセーフ。タマ姉は得意げ。

 「お淑やか」で、かつ「男を立ててくれるタイプ」で……。
 「ちょ、ちょっとタカ坊?」とか言う慌てたような声は聞かない方向で。

 それでいて……え、「エッチなことに寛容」だと最高!
 「え、えっちなのはいけないと思います」「河野さんのエッチ!」
 ご、ごめん、草壁さん、久寿川先輩……って、なんで謝ってるんだろ、俺。

 「…………あれ?」

 こうやって絞り込んでいくと、該当者が現状ひとりしかいないことに気づいた。
 いや、もちろん世界中を捜せば、条件に当てはまる女性は一杯いるだろうし、そもそも検索したのが、"自分から見た知り合いの勝手なイメージ"でしかないわけだけど。

 それでも……ポツリと呟いてしまう。
 「うーん、イルファさんみたいな人が奥さんになってくれたらなぁ」

 瞬間、手の中のマッチ棒モドキが発光する。
 「うわっ、な、何だ!?」
 光はそのまま大きくなり、部屋中に広がったかと思うと。

 ちゅどーーーーーーーーーん!!!

 お約束のごとく爆発した。
 同時に、ベッドに腰かけていた俺の上から、"何か"が降って来て俺を押し潰す。

 「きゃっ!」
 「へげめっ!!」

 幸いそれほど重たいモノじゃなかったんだが、不意打ちなので、さすがにベッドの上であおむけに倒れてしまう。

 そこにいたのは、勿論、お約束に違うことなく――イルファさんだった。
 しかも、いつもの機能的なメイド服じゃなく、純白のウエディングドレスを身にまとい、頭には長いベールまで被っていた。
 あ、左手の薬指に白手袋の上から銀色の指輪まではめてる。芸が細かいなぁ。

 「こ、ここはいったい……」
 「ごめん、イルファさん。悪いけどどいてもらえないかな」
 俺の腹の上でキョロキョロしているイルファさんに声をかける。
 「えっ……貴明さん? す、すみません!」
 慌ててイルファさん俺の身体から離れる。
 (あ、いい匂い……)
 その女性らしい香りとやわらかな身体の暖かさが遠くなるのを、惜しいと感じてしまうあたり、俺もやっぱり"男の子"なんだろう。

 でも、その時の俺は気づいていなかったんだ。
 イルファさんの両耳にいつものセンサーがついていないことに。
 そして……いつの間にか、俺の左手薬指にもイルファさんのとそっくりな結婚指輪がはまっていることに。

 そして、河野貴明とイルファさん──河野入葉のラブラブ&トラブルな新婚生活がこの時すでに始まっていたのだと言うことに……。

 -つづく-
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以上。ちなみに、本SSは、「TH2AD」が発売される前に書いたものです。
従って、ヒロインの性格、腹黒さなどに若干公式設定との乖離が見られるかもしれませんのでご了承ください。。
「おねティ」テイストをちょっと目指してみたのですが、成功とは言い難いですね~。

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