『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! After』その5

なんだか久々な感のある「るいとも」。
先週から今週にかけて、TS系の短編を次々仕上げたので、少々バテ気味です。
そのうち、こちらで公開できるものは、ココに載せます。

『るいとも *Aの5』

 「ルイズ~!」
 「ひめさまー!」
 満面の笑顔で駆け寄る高貴な美少女ふたりを、周囲の人々は微笑ましげに見守る。
 「「きぇい!」」
 ──もっとも、その微笑みも、ふたりが同時に宙高くジャンプして、拳と蹴りを交えるまでの話だったが。
 「ハッ! ハッ! ハッ!」
 「よっ! ほっ! さっ!」
 アンリエッタの17歳の姫君とは思えぬ鋭い拳撃を、ルイズが巧みにさばきつつ、隙を見てはロー・ハイ・ミドルの順に重いキックを放つ。
 そして、それを紙一重でかわすアンリエッタの技量も並みのものではなかった。
 時間にしておよそ1分くらいだろうか。
 「クルダ流交殺法表技・死流怒!」
 「トラウベル流・鷹爪猛襲脚!」
 互いの技が僅かにかすめ、風圧がその頬を薄皮一枚だけ断ち切る。
 バッと離れて間合いをとったルイズとアンリエッタは、とても妙齢の乙女とは思えぬ漢くさい笑みをニヤリと交わした。
 「腕を上げましたね、ルイズ」
 「姫様こそ、また一段と」
 互いの笑みが深くなる。
 「流派ロバ・アル・カイリエは!」
 「王者の風よ!」
 「全新!」
 「系列!」
 「天破侠乱!」
 「「見よ! 聖地は赤く燃えている!」」
 ババーーーン!!!

 「……はっ! 夢か。ヤな夢だったな~」
 虚無の日の前夜、魔法学院のルイズの部屋に泊まった才人は、ベッドの上に飛び起き、嫌な汗を流していた。
 「うぅーーん、ひめさまぁ、ダメですよぅ~」
 傍らで寝ているルイズは、のんきに寝言を漏らしているようだ。
 「ホントにああいうネタをやりかねねーから、タチがわりぃよな、このお嬢さんたちは」
 チョンチョンとルイズのほっぺをつつく。
 おそらく、先ほどあんな夢を見たのも夕方ルイズから聞いた話のせいだろう。
 国王不在のこのトリステインで、現在もっとも王位に近い(正確には、彼女の母がいるにせよ)存在のはずのアンリエッタ王女から、明日のお茶会への招待状が届いたと言うのだ。
 無論、この招待状はあくまで私的なものである。宰相その他の公的機関を通じての召喚状などとは違い、何ら法的拘束力は持たない。
 それでも、王家の人間、とくに人気の高いアンリエッタ姫からの招待とあっては、トリステインの貴族で断る人間はまずいないだろう。
 また、そういったトリステイン貴族とはいささか気質を異にするルイズも、姫とは幼少時からの友人とあって、招待に応じることに何ら疑問を感じていない。
 しかしながら、才人自身は、どうにも嫌な予感が拭いきれないのだ。
 幼い頃からルイズによって日本に連れて来られた彼女とも何度かコッソリ会ってるので、満更知らない仲ではない。一国の王女とは思えぬほど、気さくで心やさしい美少女であることもよく理解している。
 実を言えば8歳くらいのころ、ルイズと彼女に迫られて(と言っても、そこは子供のこと。「サイトはわたしのほうが好きだもん」と言う他愛ない言い争い程度だが)両手に花気分を味わったことさえある。
 その後、しばらく会わないうちに、ルイズづてに彼女にも好きな男性ができたと聞いて、安堵と一抹の寂しさを覚えていたりもしたのだが……。
 だが、昨年の春先、ほぼ5年ぶりに会ったアンリエッタは、どこか以前と違うような気がした。
 ──いや、訂正しよう。会った瞬間は、まだ昔の「優しく可愛らしいお姫様」の印象そのままだった。
 幼少時に一緒に観たことのある「ガンダム」や「セーラームーン」をはじめとするアニメのDVDを改めて観せると、いたく感動はしていたが、その程度だ。
 しかし、その後、平賀家で日本風の服装に着替え、ルイズとふたりで、秋葉原、新宿、池袋と連れ回すにつれて、彼女の放つオーラが変わっていったような気がするのだ。
 あえて言葉にすると、ルイズやシエスタの放つ"ダメな空気"と等質で、かつ方向性が120度ほどズレた気配……とでも言おうか。
 ブッちゃけると、ヲタクとしての基礎知識プラス「腐」の字で表わされる属性までも、かの王女殿下は身に着けあそばされたのだ。
 今回持参する手土産にも「そういう方面の雑誌」を8冊ばかり用意してある。
 聞くところによると、王女はほとんど独学で日本語の読み書きをマスターしつつあるらしい……BL系の雑誌や小説、同人誌を解読したい一心で。
 同じくらい熱心に政治や帝王学の勉強にも力を入れては……と他国事(よそごと)ながら心配になってくるが、まぁ、趣味にかける人の情熱などというのは、えてしてそーいうものだ。こればかりは人の「業」だから仕方ない。
 自分も雑食タイプとはいえヲタクのはしくれ。「同族」の「業」の深さくらい、笑って許容するべきだろう。
 別段、王女様がヲタクだろーと腐女子だろーと、誰に迷惑がかかるわけでもないんだし。
 そう思い返して再び眠りについた才人だったが……。

 翌日、ルイズとともに訪れた王宮でアンリエッタの私室に通された後、侍女4人の手によって問答無用にメイド服を着せられるという、生涯2度目の女装体験を経るにあたって、考え方を変えざるを得なくなった。
 「ダメだ、この王女。早くなんとかしないと!」
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以上。このSSでのルイズたちの言語習得状況については、「世界扉をくぐった者は、現地語会話を無条件に習得。ただし、読み書きは別」としています。
なので、幼少時に日本に来たことのあるアンアンや、多少祖父に手ほどきを受けていたシエスタはともかく、日本の存在も知らずに(無印11話以前)読書できるようになったタバサはまさに天才! 
いや、専門教育受けずに日本語の読み書きマスターしたふたりも十分スゴいんですけどね。
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テーマ : 自作小説(二次創作)
ジャンル : 小説・文学

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